2019年3月26日火曜日

「GAFAがデータ独占」と誤解した週刊ダイヤモンド重石岳史記者

GAFAによるデータ独占」が起きていると思い込んでしまう人の思考回路があまり理解できないが、珍しくはないようだ。日本経済新聞や日経ビジネスだけでなく、週刊ダイヤモンドも3月30日号で「このままGAFAによるデータ独占を放置すれば」などと堂々と書いていた。筆者の重石岳史記者にはぜひ認識を改めてほしい。
天主堂の見える丘(長崎市)からの風景
           ※写真と本文は無関係です

ダイヤモンド編集部に送った問い合わせの内容は以下の通り。


【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部 編集長 深澤献様 重石岳史様

3月30日号の「DIAMOND REPORT~GAFA vs 公取委 データ独占にメス!攻防戦幕開け」という記事についてお尋ねします。記事には「プラットフォーマーがデータを独占する現状を問題視し、法規制の動きが各国で顕在化しているのだ」「日本の当局には、このままGAFAによるデータ独占を放置すれば国内産業が地盤沈下するという危機感もある」との記述があります。

記事の説明が正しければ「現状」では「GAFAによるデータ独占」が起きており「日本の当局」もそれを認識しているはずです。しかし、そうは思えません。

百歩譲って「GAFA」が世界中のデータの全てを有しているとしましょう。その場合でも「GAFA」は別々に経営される企業なので4社による「寡占」にしかなりません。

では、「GAFA」を1つの企業と見なせば「データ独占」と言えるでしょうか。この場合、「GAFA」以外のデータ保有量がほぼゼロとなるはずです。これはあり得ません。マイクロソフト、アリババ、ツイッターといった企業は「データ」をほとんど有していないのですか。

IT企業に限りません。ダイヤモンド社も多くの「データ」を持っているはずです。金融機関であれ自動車メーカーであれ「データ」保有量ゼロの企業を探す方が難しいでしょう。その中には「GAFA」が持っていない「データ」も当然にあるはずです。

日本の当局」は「GAFAによるデータ独占」があると認識しているのでしょうか。重石様が書いた「杉本和行(公正取引委員会委員長)」氏のインタビュー記事にヒントがあります。

記事中には「プラットフォームを介して消費者と出品者がつながる二面市場では、消費者が増えるほど効果が増大するネットワーク効果が働くため、独占的もしくは寡占的になりやすい傾向がある」「確かに個別で見ると市場支配的な地位を占める企業も生まれている」「例えばデータを不当に囲い込む行為や、プラットフォームビジネスが取引先に不当に不利益を与える行為は問題があるという視点で対応します」といった杉本氏の発言が出てきます。しかし「GAFAによるデータ独占」が起きているとの認識を窺える発言は出てきません。

GAFAによるデータ独占」が既に実現していると取れる説明は誤りと考えてよいのでしょうか。その認識を「日本の当局」も持っているとの説明も、杉本氏のインタビュー記事から判断すれば違うと思えます。記事の説明に問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。これに関しては編集長である深澤様の責任が重大です。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「DIAMOND REPORT~GAFA vs 公取委 データ独占にメス!攻防戦幕開け
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/26174


※記事の評価はD(問題あり)。重石岳史記者への評価もDを据え置く。「データ独占」に関しては以下の投稿も参照してほしい。

GAFAが個人情報を独占? 日経ビジネス吉野次郎記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/gafa.html

「GAFAがデータ独占」と誤解するのは日経グループの癖?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/gafa.html

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