2019年3月7日木曜日

やはり本部寄り? 日経「24時間 譲れぬセブン」今井拓也記者に注文

7日の日本経済新聞朝刊企業3面に載った「ビジネスTODAY~24時間 譲れぬセブン 利益分配 人件費は加盟店負担 高収益モデル岐路に」という記事は、セブンイレブン加盟店側のコメントも盛り込んでそれなりにバランスを取っていた。しかし日経 企業報道部の宿命なのか本部寄りの姿勢がやはり目に付く。
玄海エネルギーパーク観賞用温室(佐賀県玄海町)
          ※写真と本文は無関係です

記事中に矛盾する説明もあったので、以下の内容で問い合わせを送った。

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 今井拓也様

ビジネスTODAY~24時間 譲れぬセブン 利益分配 人件費は加盟店負担 高収益モデル岐路に」という記事についてお尋ねします。記事には「セブン―イレブン・ジャパンは一部店舗で時短営業の実験を始める方針だが、なお『決して24時間営業の原則を変えるわけではない』と強調する」「今後も加盟店支援策として人手不足の店舗には従業員の派遣業者を紹介するなどする考えでフランチャイズ契約の見直しは現時点では検討していないという」 との記述があり、見出しの「24時間 譲れぬセブン」も併せて考えると「24時間営業の見直しは検討しない」と取れます。

しかし、写真に付けた説明文を見ると「24時間を見直すか検討するための実験を始める(セブンの店舗)」となっています。こちらが正しければ「24時間営業の見直しを検討する」はずです。記事中の説明に矛盾がありませんか。どちらの説明を信じればよいのですか。そして、どの説明が間違っているのですか。いずれも問題なしとの判断であれば、どう解釈すべきか教えてください。

せっかくの機会なので、ほかにも何点か注文を付けておきます。

決して24時間営業の原則を変えるわけではない」というのが本部の方針だとすると、何のために実験をしているのかとの疑問が湧きます。しかし記事には説明がありません。「24時間営業は必要」との結論ありきで実験をしているのであれば、その点は明示してほしいところです。

今回の記事は本部、加盟店の両方の言い分が反映されてはいますが、やはり本部寄りだとは思えます。まず以下のくだりについてです。

24時間の原則を変えない理由として、『社会インフラ』としての消費者ニーズのほか、コンビニの標準化されたチェーン運営の仕組みが、24時間営業を前提に成り立ってきたという事情もある。朝に販売する弁当などを深夜に配送しており、弁当などを供給する工場も24時間稼働していることが多い。営業時間を短縮する店舗が相次ぐと取引先を巻き込んだ大規模な仕組みのつくり直しが必要で『いきなり全店で見直せば崩壊する』(セブン幹部)

いきなり全店で見直せば崩壊する」との主張をそのままコメントとして使うのは感心しません。加盟店側も「いきなり全店」で「24時間営業」を中止せよと要求している訳ではありません。「選択制」を求めているだけです。「セブン幹部」のような「反論になっていない反論」はよく見られます。「公務員の数が多過ぎる。削減すべきだ」との主張に対して「公務員が1人もいなくなれば、国民の暮らしは成り立たない」と返すようなものです。

今回の場合であれば「加盟店側は選択制を求めているだけですよね。選択制にしたら、ほぼ全店が24時間営業をやめるんですか。そういう聞き取りもやってるんですか」などと突っ込んでほしいところです。そうすれば、より深みのある記事になったでしょう。

以下のくだりも引っかかりました。

終夜営業を見直すと人手不足の緩和につながるものの、加盟店の収益が一層悪化する可能性もある。深夜に商品を補充して売り場を充実させることで朝から売り上げ拡大を見込める効果が期待できる。このため時短営業に移行すると想定以上の売り上げ減少に見舞われる恐れがあるのだ

コンビニ加盟店ユニオンはセブンの「実験」に関して「一律に午前7時から午後11時までの営業という実験であれば地域のニーズに合った営業時間にならないのではないか(午前6時台に客数の多い店もある)」とコメントしています。

実験の結果、「」の売り上げが大きく落ち込む可能性もあります。しかし、営業開始時刻を早めればほぼ解決する問題です。24時間営業でないと対応できない訳ではありません。

さらに言えば、加盟店が求めているのは「選択制」ですから、「加盟店の収益が一層悪化する可能性」の判断は加盟店に任せるべきです。「終夜営業は必要だ」と感じれば元に戻してもいいでしょう。「加盟店としての利益は減ったけど、それでも営業時間の短縮を続けた方が楽だ」との判断もあり得ます。

今井様に対しては、本部側から「24時間営業は必要」との説得があるはずです。しかし、本部の主張が常に妥当だとは限りません。そこを見極める力を付けてください。今回の記事を読む限りでは、そこに不安が残ります。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社の一員として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

写真の説明文は整理部の担当者がこれまでの経緯を踏まえて作ったのだろう。しかし、記事では「決して24時間営業の原則を変えるわけではない」という本部の方針を今井記者が前面に押し出したので、整合性の問題が生じた--。推測すると、そんなところではないか。

以前にも書いたが、流通担当の中村直文編集委員は何をしているのか。「コンビニ24時間営業問題」を編集委員として署名入りでしっかり論じてほしい。消費関連企業のヨイショ記事がやたらと目立つ中村編集委員が、この問題をどう料理するかは注目だ。料理しない可能性もそこそこありそうだが…。


※今回取り上げた記事「ビジネスTODAY~24時間 譲れぬセブン 利益分配 人件費は加盟店負担 高収益モデル岐路に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190307&ng=DGKKZO42107400W9A300C1TJ3000


※記事の評価はC(平均的)。今井拓也記者への評価も暫定でCとする。「コンビニ24時間営業問題」に関しては以下の投稿も参照してほしい。今井記者が関わっている可能性も十分にある。

日経「ビジネスTODAY~コンビニ24時間転機」で引っかかること
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/today24.html

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