2018年10月1日月曜日

日経 原田亮介論説委員長「核心~メガは哺乳類になれるか」の説明下手

日本経済新聞の原田亮介論説委員長による朝刊オピニオン面のコラム「核心」が相変わらず苦しい。基礎的な知識はあるとの前提に立てば、原田論説委員長は文章で説明するのが苦手なのだろう。例えも上手くない。
平和公園(長崎市)※写真と本文は無関係です

日経には以下の内容で問い合わせを送った。

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 論説委員長 原田亮介様

1日の朝刊オピニオン面に載った「核心~メガは哺乳類になれるか」という記事についてお尋ねします。まずは以下のくだりに関してです。

平成の金融史は不良債権との格闘で始まった。銀行は合併で危機を乗り切ったが、直面したのは巨大なコンピューターシステムの統合だった。安全性とコストカットの両立は簡単ではなく、デジタル化の大波は恐竜のようなシステムの刷新を迫る。銀行は環境変化に適応する『哺乳類』に進化できるだろうか

平成の最初の年である1989年に日経平均株価は最高値を付けました。地価が下がり始めたのは91年以降と言われているので、89年や90年には「不良債権との格闘」は始まっていないと考えるのが自然です。

平成の金融史は不良債権との格闘で始まった」との記述は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

恐竜のようなシステムの刷新を迫る。銀行は環境変化に適応する『哺乳類」に進化できるだろうか」という説明も問題なしとしません。記事の最後には「『恐竜から哺乳類』への進化は簡単ではない。だが、それができないと銀行の将来像はみえてこない」とも書いています。

過去に「恐竜から哺乳類」への進化があったと思わせるような記述です。言うまでもありませんが、「恐竜から哺乳類」への進化は起きていません。「あくまで例えだ」と言うのであれば、「実際の進化の歴史とは異なるが…」などと読者に示すべきです。

鳥類は「恐竜から」進化したとの説が有力らしいので、「恐竜から」の進化を例えに使うのならば「銀行は環境変化に適応する『鳥類』に進化できるだろうか」とした方が適切な気もします。

記事には、意味不明だと思える記述もありました。以下のくだりです。

米国では給与や家賃などの支払いの多くが小切手だ。すべての取引をオンライン処理する社会的要請がないから、市中のATMは残高の即時照会をしないかわりに1日20ドル程度しか現金を下ろせない

市中のATMは残高の即時照会をしないかわりに1日20ドル程度しか現金を下ろせない」をどう解釈すべきか分かりませんでした。ATMが「残高の即時照会」をしてくれないのは利用者にとってのマイナス要素です。「1日20ドル程度しか現金を下ろせない」のもやはりマイナス要素です。それを「かわりに」でつないでいます。

「給料が安いかわりに仕事がきつい」「三振が多いかわりにホームランが少ない」といった文と似た問題を感じませんか。問題なしとの判断であれば、どう解釈すればよいのか教えてください。

市中のATMは利用者の預金残高を確認しないかわりに1日20ドル程度しか現金を下ろせない」との趣旨かとも考えましたが、解釈に飛躍がある気がします。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「核心~メガは哺乳類になれるか
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181001&ng=DGKKZO35885640Y8A920C1TCR000


※記事の評価はD(問題あり)。原田亮介論説委員長への評価はDを維持する。原田論説委員長に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「2%達成前に緩和見直すべき?」自論見えぬ日経 原田亮介論説委員長
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_77.html

財政再建へ具体論語らぬ日経 原田亮介論説委員長「核心」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_33.html

日経 原田亮介論説委員長「核心~復活する呪術的経済」の問題点
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_20.html

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