酢屋の坂=手前=と志保屋の坂(塩屋の坂) 大分県杵築市 ※写真と本文は無関係です |
当該部分を見た上で、その理由を述べたい。
【ダイヤモンドの記事】
資産形成の定番は低コストのバランス型ファンドを長期保有することだが、自ら考えリターン増を狙う「攻め」の資産を一部組み込めば、投資に対する向き合い方は変わってくるはずだ。
「長期・分散・積み立て」。森信親・前金融庁長官の肝いりで今年から始まった積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の影響もあり、資産形成を行う際の考え方として冒頭の三つのコンセプトが基本となることは、個人投資家へ徐々に浸透してきた感がある。
これを実践に移す際、定番となる方法の一つが、日本などの先進国や新興国の株・債券などに分散投資する「バランス型ファンド」というタイプの投資信託を10年単位の長期で持ち続けることだ。
過去の実績から見ても、この手法であれば安定的な資産価値の増加が期待でき、大崩れするリスクは低い。国全体で「貯蓄から投資へ」を進めるという観点からも、このような考え方がまずは基本となることに異論は少ないだろう。
ただこのところ、そうした方法こそが投資の王道だと絶対視するかのような風潮が広がっていることに対し、「もっと幅広い投資の考え方があってよいはずだ」と異を唱える向きも出てきた。
確かに、国内外の株・債券の各指数に連動するインデックスファンドで構成されたバランス型投信を長期保有すれば、低コストで堅実なリターンが見込める。だがそれだけでは、ともすれば「最初に投資対象と積立額を決めたら後は放っておくだけ」という「思考停止」に陥りかねず、ありていに言ってしまえば“つまらない”。
◇ ◇ ◇
「バランス型ファンドを長期保有すること」を「投資の王道」のように書いているが、どう考えてもおかしい。「このような考え方がまずは基本となることに異論は少ないだろう」と考える理由が理解できない。「異論」を列挙してみたい。
(1)「債券」部分に手数料を払う意味ある?
「バランス型ファンド」で最もダメなのが「債券」部分にも信託報酬がかかる点だ。特に現状の国内債券はわずかなリターンしか期待できない。なのに信託報酬を支払ってまで「バランス型ファンド」に投資する意味があるのか。自らの金融資産に国内債券を組み入れたいのなら、個人向け国債を別に持てば済む。
(2)「インデックスファンド」に直接投資した方が…
記事には「国内外の株・債券の各指数に連動するインデックスファンドで構成されたバランス型投信を長期保有すれば、低コストで堅実なリターンが見込める」との記述がある。
担当者らに問いたい。「インデックスファンドで構成されたバランス型投信」に投資すると、「インデックスファンド」を自分で組み合わせるよりも「低コスト」になるのか。確実に「高コスト」になるはずだ。
「インデックスファンドで構成されたバランス型投信」を購入すれば、「インデックスファンド」の信託報酬に加えて「バランス型投信」の信託報酬も負担する。「色々と自分で揃えるのは面倒。多少コストが高くなってもいいから1本にまとめたい」と言う人がいれば「バランス型投信」でもいいだろう。しかし「定番」や「投資の王道」と呼べるような投資対象ではない。
(3)「つみたてNISA」を使うのなら…
記事では「積み立て型の少額投資非課税制度『つみたてNISA』」にも言及している。「つみたてNISA」を利用するのならば、「バランス型投信」は避けたい。せっかくの「非課税制度」なのに、その一部をリターンが小さい「債券」に充てるのは非合理的だ。
「分散」の重要性は否定しないが、低リスクの資産は「つみたてNISA」以外で持つべきだ。「つみたてNISA」に関しては、自分の金融資産の中で期待リターンの高い資産(つまりリスク性資産)を優先して回したい。なので「つみたてNISA」に「バランス型投信」は向かない。
今回の特集は藤田章夫記者、竹田幸平記者、竹田孝洋副編集長、中村正毅記者の4人で担当している。「資産形成の定番は低コストのバランス型ファンドを長期保有すること」という説明に4人とも納得できたのか。誰からも「異論」が出なかったのか。だとしたら、かなり怖い。
※今回取り上げた特集「投資に役立つ!地政学・世界史」
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/24868
※特集全体の評価はD(問題あり)。担当者らの評価は以下の通りとする(敬称略)。
藤田章夫(暫定D→D)
竹田幸平(Dを維持)
竹田孝洋(Dを維持)
中村正毅(暫定C→暫定D)
※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「マカオ返還」は忘れた? 週刊ダイヤモンド「投資に役立つ!地政学・世界史」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_29.html
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