2018年5月23日水曜日

「持分法適用会社=連結対象外」は日経ビジネスの癖?

「持分法適用会社=連結対象外」と認識してしまうのは日経ビジネスの癖なのだろうか。2月19日号に続いて5月21日号でも、その前提で記事を書いていた。持分法投資損益を連結決算に取り込むのだから持分法適用会社は「連結対象」としか思えないのだが…。
雲仙地獄(長崎県雲仙市)※写真と本文は無関係です

日経ビジネス編集部に送った問い合わせと、それに対する回答は以下の通り。


【日経BP社への問い合わせ】

日経ビジネス編集部 高槻芳様  編集長 東昌樹様  

5月21日号の「時事深層 COMPANY 携帯に冷めたソフトバンク孫氏~米子会社スプリントの主導権手放す」という記事についてお尋ねします。

記事では「新会社『TモバイルUS』」に関して「ソフトバンクグループの持ち株比率は27.4%。連結対象からは外れ、持分法適用会社となる」と説明しています。しかし「持分法適用会社」は「連結対象」です。連結子会社でなくなるからと言って「連結対象」から外れるわけではありません。記事の説明は誤りではありませんか。

同様の問題は2月19日号の「時事深層 INDUSTRY 33%出資に隠された『本心』~王子HDが三菱製紙と資本・業務提携」という記事にもありました。この記事では「王子HD側の視点に立つと、連結対象にしない33.0%の出資比率は中途半端にも映る」と解説していました。

この件での問い合わせに対しては「今回の記事で『連結対象にしない』と表現したのは、『持ち分法適用会社にとどめ、連結子会社化にしない』という意味で書かせていただきました。記事中の関係者のコメントで『連結子会社にしない』と引用しているのはそのためです。ただ、ご指摘の通り、誤解を招く表現であったと反省し、今後の記事の参考にさせて頂きたく存じます」との回答を頂いています。

筆者が異なるとはいえ、同じような「誤解を招く表現」を繰り返してしまうのは、編集部内の情報共有が足りないからではありませんか。これに関しては編集長の責任が重いと思えます。


【日経BP社からの回答】

いつも弊誌「日経ビジネス」をご愛読いただき、誠にありがとうございます。5月21日号の時事深層「携帯に冷めたソフトバンク孫氏」に問い合わせいただいた件につきまして、回答いたします。

記事中、新会社「TモバイルUS」のソフトバンクグループの持ち株比率が27.4%となることを受け「連結対象からは外れ、持分法適用会社となる」と記述している点について、持分法適用会社は連結対象であり、「連結対象」から外れるわけではない、とのご指摘をいただきました。「連結対象から外れ」と記述したのは、いわゆるフル連結から外れるという趣旨でこうした表現をとりましたが、誤解を招く表現でした。

また、2月19日号の記事で類似の記述があり、お問い合わせいただいた際、編集部より「今後の記事の参考にさせて頂きたく存じます」との回答を差し上げました。このたびの「編集部内の情報共有が足りない」とのご指摘はおっしゃる通りです。あらためて表現に正確を期すようにして参ります。

◇   ◇   ◇

※「時事深層 COMPANY 携帯に冷めたソフトバンク孫氏~米子会社スプリントの主導権手放す
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/051501039/?ST=pc


※記事の評価はC(平均的)。高槻芳記者への評価は暫定D(問題あり)から暫定Cへ引き上げる。


※2月19日号の「時事深層 INDUSTRY 33%出資に隠された『本心』~王子HDが三菱製紙と資本・業務提携」という記事に関しては以下の投稿を参照してほしい。

「33%出資は連結対象外」に関する日経ビジネスの回答
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/33_21.html

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