2018年5月16日水曜日

登場人物の「瞬間移動」が気になる日経「スタートアップ大競争」

日本経済新聞朝刊1面で連載していた「スタートアップ大競争 都市は競う」が終わった。16日の「(下) 紅いシリコンバレー 自由と統制、矛盾抱え膨張」に関しても、記事の書き方で1つ注文を付けたい。今回は登場人物の「瞬間移動」の問題だ。
門司港(北九州市)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

「ここはもはや遅れているよ」。香港を拠点にアジアでスマートロッカー事業を展開するパクポボックスの共同創業者、呉枢棋(マシュー・ヌグ)氏は、対岸の中国・深圳の街を見ながらため息をついた

ヌグ氏は香港で生まれ、ロンドンで11年を過ごした。2つの金融都市で育ったヌグ氏が憂うのは伝統的な都市につきまとう規制だ。

ブィィィ――。世界最大の電脳街と呼ばれる深圳・華強北(ファーチャンベイ)を歩く大勢の人の頭上を、スペースシャトル型のドローン(小型無人機)が飛び交う。「香港では規制があり、こうはいかない。この自由さこそがイノベーションを生むんだ」。ヌグ氏の目は真剣だ。深圳は2017年、香港の域内総生産(GDP)を抜いた。



◎「ヌグ氏」は瞬間移動?

上記のくだりでは「ヌグ氏」のいる場所が引っかかる。

香港を拠点にアジアでスマートロッカー事業を展開するパクポボックスの共同創業者、呉枢棋(マシュー・ヌグ)氏は、対岸の中国・深圳の街を見ながらため息をついた」と書いてあるので、この時点では香港にいるはずだ。

しかし、その直後に「深圳・華強北(ファーチャンベイ)を歩く大勢の人の頭上を、スペースシャトル型のドローン(小型無人機)が飛び交う」様子を見て「香港では規制があり、こうはいかない」とコメントしている。コメントを発した場所は「深圳」と理解するしかない。

深圳」に場所を移すなとは言わない。だが、移すならばその流れをきちんと説明すべきだ。断りもなく場所が変わってしまうと読む方は面食らってしまう。

ただ、3回の連載全体の出来はそれほど悪くなかった。後は細部への目配りの問題だ。


※今回取り上げた記事「スタートアップ大競争 都市は競う(下) 紅いシリコンバレー 自由と統制、矛盾抱え膨張
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180516&ng=DGKKZO30511360V10C18A5MM8000


※連載全体の評価はC(平均的)。連載の最後には「加藤貴行、遠藤邦生、岐部秀光、白石透冴、佐藤浩実、鈴木健二朗、大西綾、矢野摂士、吉田楓が担当しました」と出ていた。連載の責任者を加藤貴行氏と推定し、同氏への評価を暫定でCとする。今回の連載に関しては以下の投稿も参照してほしい。

データの扱いが恣意的な日経1面「スタートアップ大競争」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/05/blog-post_14.html

ダブリンは首都でも「辺境」? 日経「スタートアップ大競争」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/05/blog-post_15.html

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