2016年9月23日金曜日

せっかくの「訂正とお詫び」が中途半端な週刊ダイヤモンド

週刊ダイヤモンド9月17日号の特集2「巨額買収のカラクリ ソフトバンク3.3兆円の梃子」に誤りがあった問題で、9月24日号に「訂正とお詫び」が載っていた。誤りを握りつぶさずに訂正した点は評価できるが、対応はやはり不十分だ。これまでの経緯を、9月11日に送った問い合わせ、ダイヤモンドの「訂正とお詫び」、9月22日に送ったダイヤモンドへの指摘の順で見てほしい。
山口県下関市側から見た関門橋 ※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド 雑誌編集局・局長 鎌塚正良様 編集長 田中博様  北濱信哉様 村井令二様

2016年9月17日号の特集2「巨額買収のカラクリ ソフトバンク3.3兆円の梃子」についてお尋ねします。165ページの記事でヤフーについて「広告収入も順調だ。ディスプレー広告が前年から3割近く増加したことにより16年3月期の売上高は2669億円。そのうちスマホ広告の売上高は約44%を占める」と書いています。なのに、記事中の「広告関連売上高」というグラフで「ディスプレー広告」を見ると、15年3月期に1500億円程度だったのが16年3月期には1400億円程度に減っており、記事中の説明と矛盾します。

一方、グラフで見る限り「検索連動型広告」は16年3月期に増えています。ところがヤフーの16年3月期決算説明資料によると「検索連動型広告」は7.7%減の1404億円、「ディスプレー広告」は29.4%増の1264億円となっていました。グラフでは「ディスプレー広告」と「検索連動型広告」が入れ替わっているのではありませんか。そう考えると全て辻褄が合います。

ついでにもう1つ指摘します。記事では「16年3月期の売上高は2669億円。そのうちスマホ広告の売上高は約44%を占める」と説明しています。しかし、ヤフーの決算説明資料では、「2669億円」について「スマートフォン経由比率 41.4%」となっており、記事の「約44%」とは合いません。

上記の指摘について、御誌の見解を教えてください。記事の説明に誤りがあれば、訂正記事の掲載もお願いします。

御誌では記事中のミスの握りつぶしが常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある対応を心がけてください。


【ダイヤモンドの「訂正とお詫び」】

本誌9月17日号165ページ「広告関連売上高」の図の凡例中、ディスプレー広告を薄い紫色に、検索連動型広告を濃い紫色に入れ替えます。また、同ページ3段目5行目のスマホ広告の売上高比率を「約41%」に訂正します。


【ダイヤモンドへの指摘】

週刊ダイヤモンド 雑誌編集局・局長 鎌塚正良様 編集長 田中博様  北濱信哉様 村井令二様

9月17日号の特集2「巨額買収のカラクリ ソフトバンク3.3兆円の梃子」の中の誤りについて、9月24日号に「訂正とお詫び」が載っていました。この件で2点を指摘しておきます。

まず、訂正が中途半端です。「16年3月期の売上高は2669億円。そのうちスマホ広告の売上高は約44%を占める」との説明に関して「約44%」を「約41%」に訂正したのは問題ありません。ただ、この数字は記事中のグラフにも使っています。なのでグラフの「スマホ広告売上高比率」の「16年」の数字が誤っていることも読者に伝えるべきです。その上で、御社のサイトに出ている当該記事のグラフ自体を修正してください。

もう1つは読者への回答です。「グラフでは『ディスプレー広告』と『検索連動型広告』が入れ替わっているのではありませんか」「ヤフーの決算説明資料では、『2669億円』について『スマートフォン経由比率 41.4%』となっており、記事の『約44%』とは合いません」と指摘してきた読者がいるはずです。その問い合わせに対して、きちんと回答しましたか。無視を決め込んでいませんか。

週刊ダイヤモンドは購読料を支払ってくれる読者がいるからこそ成り立っているのです。記事中の誤りとは、言い換えれば「製品の欠陥」です。「欠陥のある製品を絶対に出すな」とは言いません。ミスは付き物です。なのでミス自体を責めるつもりもありません。しかし、欠陥を指摘されても無視を貫くという御誌の態度は改めるべきです。

「訂正とお詫び」を載せた案件に関して読者から指摘を受けた場合、常識的に考えれば謝罪が必要でしょう。そこはプライドが許さないというのであれば、誤りを認めるだけでもいいのです。そこから逃げ回っている限り、いつまで経っても「まともなメディア」には戻れません。なぜこうした事態を招いてしまったのか編集部で「総括的な検証」をした上で、かつての輝きを取り戻してください。期待しています。

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ダイヤモンドの「訂正とお詫び」は嫌々出している感が強く出ている。読者本位で考えれば、何の記事でどう間違えたのかをもう少しきちんと伝えたくなるはずだ。グラフの「44%」の問題も含めて改善例を示してみる。

【「訂正とお詫び」の改善例】

本誌9月17日号の特集2「巨額買収のカラクリ ソフトバンク3.3兆円の梃子」で、165ページの「広告関連売上高」の図に誤りがありました。凡例中、ディスプレー広告を薄い紫色に、検索連動型広告を濃い紫色に入れ替えます。同じ図で「スマホ広告売上高比率」の「16年」の数値が「44%」となっているのは「41%」の誤りでした。同様に同ページ3段目5行目のスマホ広告の売上高比率が「約44%」となっているのを「約41%」に訂正します。

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※この件に関しては「グラフに明白な誤り 週刊ダイヤモンドのソフトバンク特集」(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/09/blog-post_12.html)も参照してほしい。

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