2016年6月27日月曜日

事実に反する山田厚史デモクラTV代表の大手メディア批判

「ネットメディアの方が既存の大手メディアより自由だ」と強調するために、あえて事実を無視しているのか。それとも確認が不十分なだけなのか。朝日新聞の元編集委員でデモクラTV代表の山田厚史氏が、週刊エコノミスト7月5日号で事実誤認に基づくと思われる大手メディア批判を展開していた。
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                  ※写真と本文は無関係です

ネットメディアの視点~アベノミクス見限った三菱銀 メディアは政策の自壊をなぜ書かぬ」という記事で、「三菱東京UFJ銀行が、財務省から与えられた国債市場特別参加者の資格を返上する、と言い出した」ことに関して、山田氏は以下のように書いている。

【エコノミストの記事】

難しい財政や金融のことはエライ人に任せておこう、とフツウの人は目をつぶってきた。ところがエライ人の間で内輪もめが始まったのが今回の一件だ。口を拭ってきた「危ないこと」を「危ない」と銀行が指摘したのである。

政府・日銀・金融界が支えるアベノミクス体制に強烈なボディー・ブローが放たれたのだ。しかも身内から。これは大事件だ。ネットでは「アベノミクスにダメ出し」など率直な分析が飛び交っている。既存のメディアは遠巻きにし、事実関係を書くだけ。本質に触れようとしない。銀行や日銀に張り付いている大手メディアは、誰に遠慮しているのだろうか。

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山田氏の言う通りであれば、6月16日の日経夕刊に載った「日銀ウオッチ~三菱はなぜ怒るのか」(筆者は石川潤記者)という記事でも「既存のメディアは遠巻きにし、事実関係を書くだけ」のはずだ。しかし、そうはなっていない。

記事では「三菱UFJが資格返上を決めたのは、マイナス金利の国債は買えないという立場を明確にするためだ。マイナス金利政策の議論に一石を投じる狙いがあった」と書いており、石川記者は三菱UFJの動きに「アベノミクスにダメ出し」的な要素があると示唆している。

銀行や企業が動かないなら、政府・日銀が正しい方向に導いてしまえ――。マイナス金利政策への反発が強いのは、こんな官尊民卑の発想を銀行などが敏感に感じ取っているからではないか」と結んだこの記事に、政府・日銀への「遠慮」は感じられない。

『十分に事実確認をした上で思い込みを排して大手メディアの報道内容を検証してほしい』と編集部から山田氏に伝えていただけないでしょうか」とお願いしたところ、「担当者より、筆者に申し伝えます」との返事がエコノミスト編集部から届いた。山田氏には石川記者の記事をぜひ読んでほしい。「遠巻きにし、事実関係を書くだけ」の記事かどうか、すぐに分かるはずだ。

日経を含めた大手メディアには様々な問題がある。しり込みした報道が目立つ場面も珍しくない。それに対する批判は必要だ。しかし、事実を無視した批判に意味はない。その点を山田氏にはしっかり自覚してほしい。

※週刊エコノミストの記事はD(問題あり)。山田厚史氏への評価も暫定でDとする。

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