火事(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【ダイヤモンドへの問い合わせ】
6月18日号の「Inside~ソフトバンクが株売却で1兆円 市場が注目する巨額資金の使途」という記事についてお尋ねします。筆者の北濱信哉記者はソフトバンクが日本ヤフーの株式を取得するとの観測に触れた上で以下のように書いています。
「そこで米ヤフーの保有する日本ヤフー株を買い取り、同社を連結対象化するため1兆円のキャッシュが用いられるのではないかとみる向きがあるわけだ」
「また、ややペースは鈍化しているものの成長を続ける日本ヤフーを連結対象に加えれば、ソフトバンクの企業価値を高めることにつながる」
これを見る限り、現在の日本ヤフーはソフトバンクの連結対象ではないはずです。しかし、6月9日にソフトバンクグループが出したニュースリリースのタイトルは「当社子会社(ヤフー株式会社)による公開買付けの開始に関するお知らせ」です。また、ソフトバンクグループの事業別の概要を見ると、ヤフー事業の「主要子会社及び関連会社」の中に「ヤフー株式会社」が入っています。
記事で言う「日本ヤフー」は「ヤフー株式会社」と同一の会社ではありませんか。その場合、日本ヤフーがソフトバンクグループの連結対象なのは明らかです。「米ヤフーの保有する35%分を買い取ることで初めて連結対象に入ってくる」と受け取れる記事中の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。
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これに関して「訂正とお詫び」は以下のようになっている。
【訂正とお詫び】
本誌6月18日号14ページ上から3段目の9~10行目「り、同社を連結対象化す」の部分と、同15~31行目全てを削除いたします。
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訂正記事だけ読むと何のことかほとんど分からない。
まず、「そこで米ヤフーの保有する日本ヤフー株を買い取り、同社を連結対象化するため1兆円のキャッシュが用いられるのではないかとみる向きがあるわけだ」との記述を「そこで米ヤフーの保有する日本ヤフー株を買い取るため1兆円のキャッシュが用いられるのではないかとみる向きがあるわけだ」に訂正。「また、ややペースは鈍化しているものの成長を続ける日本ヤフーを連結対象に加えれば、ソフトバンクの企業価値を高めることにつながる」といった説明を削除している。
つまり「現時点で日本ヤフーがソフトバンクの連結対象ではない」との認識は間違っていたとダイヤモンド編集部が認めている。ならば、なぜきちんと読者に説明しないのか。「訂正とお詫び」が目立たない場所にひっそり載っているのは良しとしよう。しかし、何をどう間違えたかはきちんと提示すべきだ。今回のような訂正では、前週号でソフトバンクの記事を読んだ人でさえ、何を間違えたのかを理解するのは困難だ。
さらに言えば、定期購読している読者から間違い指摘を受けて、実際に誤りだったのに問い合わせを無視する姿勢も不誠実との誹りを免れない。
今回の間違いはかなり豪快であり、内容からしてソフトバンクグループやヤフーなど当事者からも抗議を受けている可能性が高い。一読者からの指摘であれば、いつも通りの無視で済ませたのだろうが、今回は渋々ながら訂正に応じたと推測できる。そのためか「どんな間違いだったかはできるだけ分かりにくくしたい」との思いが、「訂正とお詫び」の文面に透けて見える。
記事中の間違い自体を強く非難するつもりはない。こちらもミスの多い人間だ。偉そうに言える資格はない。しかし、ダイヤモンドは間違えた後の対応にも問題がある。プライドが高すぎるのか、間違いをなかなか認めたがらない。だから読者からの指摘は無視するし、やむを得ず訂正を出す場合も「恥」の最小限化を優先させてしまう。
「間違えた時にどう対応すれば最も読者のためになるのか」をまず考えるべきだ。それがメディアとしての信頼性を高め、結果として自分たちを支えてくれる。そのことになぜ気付かないのか。必死に守るべきは自らの下らないプライドではない。メディアとしての信用だ。それを肝に銘じてほしい。
ちなみに、ダイヤモンドのサイトで当該記事の修正を確認してみると、本文は直っていたが「ヤフーを連結対象へ」という小見出しはそのままだった。この辺りもダイヤモンドらしいと言うべきだろうか…。
※今回の件に関しては「ヤフーはソフトバンク連結対象外?週刊ダイヤモンドに問う」も参照してほしい。当該記事を執筆した北濱信哉記者の評価はF(根本的な欠陥あり)への引き下げを検討していたが、訂正を出した点を評価してE(大いに問題あり)にとどめる(従来は暫定C)。
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