2016年2月9日火曜日

「マイナス金利」関連記事 不出来が際立つ日経ビジネス

今週の経済誌で注目したのは、やはりマイナス金利関連記事だ。週刊東洋経済の「日銀 再びルビコン川を渡った中央銀行 『史上初』金融政策の衝撃」、週刊エコノミストの「マイナス金利」、週刊ダイヤモンドの「マイナス金利導入! 日銀の危険な賭け」、日経ビジネスの「時事深層~マイナス金利、企業は踊らず」を読み比べてみた。質と量の両面で読み応えがあったのが東洋経済とエコノミスト。ダイヤモンドは間違いと思える説明があったので、その分で及第点に届いていない(※「経済学でマイナス金利は『想定外』? 週刊ダイヤモンドに質問」参照)。
小椎尾神社(福岡県うきは市) ※写真と本文は無関係です

他を引き離して出来が悪かったのが日経ビジネスだ。他誌が緊急特集を組む中でわずか2ページの記事だけというのも、質が高ければ良しとしたい。しかし、中身を見ると今回のマイナス金利政策に関する基礎的な部分を理解していないと思える記述が見られた。問い合わせをしてみたものの、丸1日以上経っても回答はない。

今回の記事の筆者は明示されず「景気動向取材班」となっている。ならば、デスクも含めてかなり数の人間が記事に目を通しているはずだ。なのに誰も何も気付かなかったのか。だとしたら症状としては末期的だ。

間違いと思える部分については、問い合わせの内容を見てほしい。

【日経BP社への問い合わせ】

日経ビジネス2月8日号の時事深層「マイナス金利、企業は踊らず」という記事についてお尋ねします。記事ではマイナス金利政策について「日銀は2月16日から、当座預金についての対応を変える。2015年の平均残高に相当する分には従来と同じ利子を付けるが、それを上回る部分には逆に0.1%の利子(手数料)を取る」と説明しています。しかし、日銀の公表した資料に照らしてみると、上記の説明は誤りだと思えます。

日銀は日銀当座預金について「3つの階層毎に、プラス・ゼロ・マイナス金利とする」としています。しかし、御誌の説明ではゼロ金利になる部分がありません。「2015年の平均残高に相当する分」がプラスで、「それを上回る部分」がマイナスです。「ゼロ」はどこへ行ったのでしょうか。

日銀の公表資料によれば当初はプラス金利が約210兆円、ゼロ金利が約40兆円(マクロ加算残高)となり、それを上回る部分にマイナス金利を適用するようです。御誌の説明ではマクロ加算残高にもマイナス金利が適用されることになってしまいます。

記事の説明が正しいとすれば、その根拠を教えてください。誤りであれば訂正記事の掲載をお願いします。

さらに言えば、「お金の流れが細れば、過剰流動性をよりどころに続く株高も崩れかねない」との説明には疑問を感じました。年明け以降の動向で言えば基本的に「株安」です。今の段階で「株高が続いている」と書くならば、どの時点と比べているのか明示すべきでしょう。

----------------------------------------

記事の問題は他にもある。「マイナス金利、企業は踊らず」と見出しにあるのだから、企業への貸し出しは増えない可能性が高いのだろうと思ってしまう。記事でも「マイナス金利の導入で貸し出しが増えるという流れには懐疑的な向きが多い」と書いている。しかし、最後に様子がおかしくなる。

【日経ビジネスの記事】

この副作用は日本企業にも起き得る。マイナス金利の導入が伝わった1月29日、収益圧迫を懸念して軒並み売られた銀行株と対照的に、不動産関連株が一斉に高値を付けた。貸出先を必死に探している銀行が、1件当たりの額の大きい不動産融資に傾斜するとの見方が広がったためだ。緩和マネーの副作用が不動産バブルの形で出現する可能性がある。それが何をもたらすかを知らぬ人はいない。

----------------------------------------

自分たちが書いたことを最後の方では忘れてしまったのか。不動産バブルを心配する必要があるならば、見出しは「マイナス金利 企業は踊らず」ではなく「マイナス金利で不動産バブルも」とかの方がいい。

今回の記事に関わった景気動向取材班のメンバーは、週刊東洋経済と週刊エコノミストでマイナス金利特集を読んでみてほしい。自分たちのレベルの低さがよく分かるはずだ。その上で、今後どうすべきかを考えてもらいたい。

※記事の評価はE(大いに問題あり)。

0 件のコメント:

コメントを投稿