2016年2月5日金曜日

日経1面「食と農」では「見えた食品輸出1兆円」と言うが…

4日の日本経済新聞朝刊1面の「食と農~平成の開国(2)」には「見えた食品輸出1兆円  芽吹け日本ブランド」という見出しが付いている。しかし、最後まで読んでも「食品輸出1兆円」は見えてこなかった。そもそも具体的な数値が乏しすぎる。「食品輸出1兆円」に関しては最終段落に以下の記述があるだけだ。
合所ダム(福岡県うきは市) ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

TPPやEPAが広がるメガFTA時代。「日本産には安心・安全のイメージがある」(日本貿易振興機構理事長の石毛博行、65)。徹底的な品質管理と顧客層の絞り込みによって2020年に農林水産物・食品を1兆円輸出する政府目標は前倒しが視野に入る

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記事の最後にいきなり「2020年に農林水産物・食品を1兆円輸出する政府目標は前倒しが視野に入る」と言われても戸惑う。そもそも、多くの読者は現状がどの程度の輸出額かも知らないはずだ(調べてみると2014年で6114億円らしい)。まず直近の数字は見せてほしかった。

その上で、例えば「15年は前年より3割以上増えて9000億円を超えたもよう」などと書いてあれば「確かに1兆円輸出の前倒し達成が視野に入ってきたな」と納得できる。しかし、記事中にそうした情報はない。これで「1兆円輸出する政府目標は前倒しが視野に入る」と結論付けて「見えた食品輸出1兆円」と見出しを付けるのは問題ありだろう。

前倒しが視野に入る」のはあくまで「徹底的な品質管理と顧客層の絞り込み」の実現が条件という解釈も成り立つ。しかし、「見えた食品輸出1兆円」という見出しと併せて考えると「徹底的な品質管理と顧客層の絞り込みが実現しつつあるので、政府目標の前倒しが視野に入ってきた」と理解する方が自然だ。

この記事には他にも問題がある。

【日経の記事】

ロイヤルブルーティージャパン(神奈川県藤沢市)はシンガポールでワイン風ボトルに入れた1本2万5千円の茶飲料を売る。社長の吉本桂子(44)は「お酒が飲めない人にも楽しめ、世界中で売れる」と付加価値を高めた日本茶に新しい可能性を感じている。

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シンガポールでワイン風ボトルに入れた1本2万5千円の茶飲料を売る」と書くと、「ボトルに入れる作業をシンガポールでやった」とも解釈できる。文脈からすれば「シンガポールで売る」と言いたいのだろう。ならば「ワイン風ボトルに入れた1本2万5千円の茶飲料をシンガポールで売る」と書いた方がいい。

さらに言えば「付加価値を高めた日本茶」と書くならば、どう付加価値を高めたのか触れた方がいい。記事にあるのは「ワイン風ボトルに入れた」ということだけだ。普通のお茶をワイン風ボトルに入れて1本2万5千円で売っているのならば、まともな商売とは言い難い。


※記事の評価はC(平均的)。

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