2016年2月19日金曜日

必須情報が抜けた日経「住宅ローン金利、みずほ引き下げ」

記事には絶対に入れるべき要素がある。例えば、「東京ディズニーランドの入園料引き上げ」という記事で値上げ幅や入園料に触れない選択肢はない。情報が確定していない場合でも、「値上げ幅は未定」などと伝える必要がある。そんな基本中の基本を守れていないベタ記事が、19日の日本経済新聞朝刊経済面に出ていた。「住宅ローン金利、みずほ引き下げ 普通預金も」という記事の全文は以下のようになっている。

筑後川沿いの風景(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です
【日経の記事】

みずほ銀行は18日、普通預金と住宅ローンの金利を引き下げると発表した。外貨定期預金の金利は上げる。いずれも22日から適用する。日銀のマイナス金利政策の導入を受けて、国債利回りが低下しているため。三井住友銀行やりそな銀行も住宅ローンなどの金利を下げており、マイナス金利の影響が一段と広がってきた。

----------------

この記事では、金利をどれだけ引き下げて、結果として何%になるのかは絶対に入れるべきだ。「普通預金と住宅ローン」のどちらかを省く選択はあり得るが、両方とも省略するのは問題外だ。みずほ銀行は引き下げを発表しているのだから、引き下げ幅や新たな金利水準が分からないとは考えられない。

ちなみにテレビ朝日では以下のように書いていた。

【テレビ朝日の記事】

みずほ銀行は22日から住宅ローンと普通預金の金利を引き下げると発表しました。

このうち、住宅ローン金利は固定金利型を対象に引き下げます。主力の固定期間10年の最優遇金利は、今月はすでに年1.05%の過去最低水準の金利を提示していましたが、さらに0.15%引き下げて年0.90%にします。一方で、普通預金の金利は年0.020%から過去最低(2002年8月から2006年7月まで)と並ぶ0.001%に引き下げます。見直しは2010年9月以来、5年5カ月ぶりとなります。大手行では三井住友銀行やりそな銀行が今月、住宅ローンと普通預金の金利を引き下げています。また、グループのみずほ信託銀行も26日から年0.020%を過去最低と並ぶ0.001%に引き下げます。日銀が「マイナス金利」の導入を発表後、市場金利が低下したことなどを踏まえた対応としています。

----------------------------------------

普通はこう書くだろう。この記事は必須の要素をちゃんと盛り込んでいる。日経の記事と比べると、きちんと書いている感じが出ている。今回のベタ記事を書いた日経経済部の記者・デスクに言わせれば「テレビ朝日の記事とは行数が違う。スペースが十分にあれば、自分たちだってちゃんと書いていた」と反論したくなるかもしれない。しかし、日経の行数でも必須の要素は十分に入れられる。試しに、テレビ朝日の記事を参考にして改善例を示してみよう。

【改善例】

みずほ銀行は18日、普通預金と住宅ローンの金利を引き下げると発表した。日銀のマイナス金利政策の導入を受けた国債利回りの低下を反映させる。住宅ローンは主力の固定期間10年の最優遇金利を0.15%引き下げて年0.90%にする。普通預金の金利は年0.02%が0.001%になる。外貨定期預金の金利は上げる。いずれも22日から適用する。

----------------------------------------

これで日経の記事とほぼ同じ長さで、必須の情報を盛り込めているはずだ。1行オーバーするならば「外貨定期預金の金利は上げる」を削ればいい。このぐらいの当たり前のことが、なぜできないのか。

今回の件から読み取れるのは、経済部の記者だけでなくデスクも記事の書き方の基礎的な技術が身に付いていないということだ。本来ならば、デスクが記者に「こういう書き方じゃダメだろ」と指導しなければならない。しかし、そういう教育を社内でできる土壌は既に消失している。

今回の記事を書いた記者は、基礎的な技術を身に付けないままデスクになる可能性が非常に高い。デスクになった時に記者が今回のような記事を書いてきても、注意してあげることはもちろんできない。そうやってレベルの低い記事が量産されていく。そんな流れを何とか食い止めたいと願っているのだが…。


※記事の評価はE(大いに問題あり)

0 件のコメント:

コメントを投稿