2015年10月8日木曜日

「金融危機から6年」? 産経の松浦肇編集委員へ質問(2)

ダイヤモンド10月10日号に松浦肇産経新聞ニューヨーク駐在編集委員が書いた「from米国~“停滞する米国”の象徴 ポピュリスト不動産王 米大統領選で快進撃」について、追加で注文を付けておく。

福岡城跡から見える福岡市街 ※写真と本文は無関係です
◎支持率上昇の理由は「知名度」?

【ダイヤモンドの記事】

2016年の米大統領選に出馬した不動産王、ドナルド・トランプ氏の進撃が止まらない。CNNなどによる最近の世論調査では共和党指名争いでトップとなり、有力な対抗馬のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事の支持率を優に上回った。

共和党支持者または共和党寄りの中間層でトランプ氏を支持するのは3割超。出馬表明した6月比で3倍も支持率を高めた。

「暴言癖のある芸能人」。これがトランプ氏に対する一般的な米国民の印象だろう。7月の有権者集会ではメキシコからの移民を「強姦犯」と言い切った。

当初は全くの冗談だと受け止められた出馬宣言。ここにきて、「トランプ大統領」が現実味を帯びてきた背景には何があるのか?

理由は主に二つある。まずは、お茶の間にまで浸透した知名度だ

トランプ氏はニューヨーク生まれ。父親が経営していた不動産会社を継ぎ、開発プロジェクトで成功。向こう傷を恐れない経営スタイルで知られ、スポーツ事業やカジノ経営にも手を出して、米国中に名をはせた。「トランプタワー」と呼ばれる金ピカな高層ビルはニューヨークの象徴だ。

ビジネスで成功すると、メディアが接近した。トランプ氏が主役を演じたリアリティ番組での名セリフ、「ユー・アー・ファイアード(おまえはクビだ)」は一世を風靡した。

私生活では2回の離婚歴があり、2人の前妻は、元ファッションモデルと芸能人。現在の妻も元モデルだ。艶福家として有名で、美女コンテストの運営会社も保有している。


ここにきて、『トランプ大統領』が現実味を帯びてきた背景」として、松浦編集委員は「知名度」を挙げている。これは不可解だ。「出馬表明した6月比で3倍も支持率を高めた」理由としては苦しい。この3カ月で知名度が上がったのならば分かる。しかし記事では、事業で成功したりリアリティ番組で主役を演じたりした話が出てくるだけだ。


◎一歩間違えると「暴言」?

【ダイヤモンドの記事】

人気の2番目の理由が、歯に衣着せぬ発言である。一歩間違えると「暴言」だが、支持者は「直截的」とみる。

例えば、政治献金制度。「金主」批判は政治家にとってタブーなのだが、トランプ氏は金持ちなので献金は不必要だ。「PAC」と呼ばれる献金の受け皿となる政治資金団体制度の矛盾を指摘し、米国政治を「ロビイスト主導の利権主義」と批判したのが支持されている。


一歩間違えると『暴言』だが、支持者は『直截的』とみる」例として「政治献金制度」に関するトランプ氏の発言を取り上げている。しかし「献金の受け皿となる政治資金団体制度の矛盾を指摘し、米国政治を『ロビイスト主導の利権主義』と批判した」ことが、なぜ「一歩間違えると暴言」なのか理解に苦しむ。記事の説明だけだと、「まともな批判」としか思えない。


◎「安易な人格攻撃」では?

【ダイヤモンドの記事】

自己顕示欲、金銭欲に所有欲。トランプ氏が米大統領選に出たのは名誉欲を満たすためで、「外交も政策も素人のポピュリスト」が彼の素顔である。


こういう安易な人格攻撃は感心しない。本人がそうコメントしているなら別だが、「米大統領選に出たのは名誉欲を満たすため」と断定できる根拠を松浦編集委員は持っているのだろうか。「本人が読むわけではない」と安心しているのかもしれないが、こういう批判の仕方をしていると書き手としての適性が疑われる。


※記事の評価はD(問題あり)。松浦肇編集委員の評価もDとする。手抜きをして記事を書いているのならば、考えを改めてほしい。

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