2015年10月14日水曜日

説明下手が過ぎる 日経 北沢千秋編集委員の記事(1)

説明下手の典型と言える記事が14日の日経朝刊マネー&インベストメント面に出ていた。「波乱相場で健闘の投信  ヘッジファンド型で運用」という記事の筆者は北沢千秋編集委員。本来なら若手に手本を示すべき立場なのだが、悪い見本となってしまっている。まずは問題の部分を見てみよう。

広田弘毅像(福岡市中央区) ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

同ファンドはCTA(商品投資顧問)と呼ばれるヘッジファンドで、CTA大手の英マン・グループが運用する。世界の株価指数や国債、通貨、金や原油、大豆などコモディティーの先物が投資対象で、上げ相場では買い、下げ相場では売りで利益を追求する。


投資対象の列挙の仕方がまずい。知識に乏しい読者ならば、何が何か分からなくなってしまうだろう。「世界の株価指数や国債、通貨、金や原油、大豆などコモディティーの先物が投資対象」という場合、投資対象は具体的にどうなるだろうか。

形式的に解釈すれば「世界の株価指数」「世界の国債」「通貨」「金」「原油」「大豆などコモディティーの先物」だろうか。金、原油、大豆に関して「これらはコモディティーだ」との知識があれば、投資対象を「世界の株価指数」「世界の国債」「通貨」「コモディティー(金、原油、大豆など)の先物」と理解するかもしれない。

しかし、北沢編集委員の意図は全く異なるはずだ。おそらく投資対象は「先物」で、何の先物かと言えば「世界の株価指数」「世界の国債」「世界の通貨」「コモディティー(金、原油、大豆など)」だろう。並立助詞「や」を2回、読点を3回使って「株価指数」「国債」「通貨」「金」「原油」「大豆」「コモディティー」「先物」を並べているので、非常に分かりにくくなっている。

では、どう書けばよかったのか。推測に基づき、改善例を示してみる。


【改善例】

同ファンドはCTA(商品投資顧問)と呼ばれるヘッジファンドで、CTA大手の英マン・グループが先物市場で運用する。対象は世界の株価指数、国債、通貨にとどまらず、金、原油、大豆などのコモディティーにも及ぶ。上げ相場では買い、下げ相場では売りで利益を追求する。


列挙しているものをアルファベットで表記してみると記事の問題点がよく分かる。「世界のAやB、C、DやE、Fなどコモディティーの先物が投資対象」と書いてあった場合、A~Fの関係をすぐに理解できるだろうか。

記事の問題点はこれだけではない。それらは(2)で指摘する。

※(2)へ続く。

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