福岡城跡(福岡市中央区) ※写真と本文は無関係です |
また、2位の「ノムラ・グローバルトレンド」は、ヘッジファンド」は、ヘッジファンドの一種でCTAと呼ばれる投資戦略を採る。CTAは原油といった商品(コモディティー)、債券、通貨、株式などの先物に幅広く投資し、上昇や下落といったトレンドが相場で形成された際、その流れに追随して利益獲得を目指す。
ノムラ・グローバルトレンドは、英マン・グループのCTAファンドに投資することで、間接的に各種先物に投資している。8月に各資産が下落した局面でも、韓国ウォンやレアルなどの新興国通貨、さらにはガソリンの売りによって利益を出した。2位の「円コース」タイプは為替ヘッジしているため、それもプラスに働いた。信託報酬は高いものの、CTA投信を補完的に資産に組み入れるのは手だろう。
足元好調なCTA投信だが、09~13年は低迷した。リーマンショック後の金融緩和によって、各市場の個別要因に基づいたトレンド形成が人為的要因によって抑制されたためだ。流れが変わったのは13年5月以降。FRB議長だったバーナンキ氏が量的緩和縮小を示唆する発言を行った後だ。
まず「CTAと呼ばれる投資戦略」という説明が気になった。CTAは「Commodity Trading Advisor」の略だし、記事でも「ヘッジファンドの一種」と書いている。投資戦略の名称とは言えないだろう。
最も理解に苦しんだのが「リーマンショック後の金融緩和によって、各市場の個別要因に基づいたトレンド形成が人為的要因によって抑制されたため」に運用成績が低迷したとの説明だ。「上昇や下落といったトレンドが相場で形成された際、その流れに追随して利益獲得を目指す」のであれば、個別要因に基づいたトレンドだろうと、それ以外のトレンドだろうと追随して利益獲得を目指せばいいのではないか。
そもそも「金融緩和によって各市場の個別要因にトレンド形成が抑制された」というのが意味不明だ。例えば日銀の異次元緩和によって長期金利が人為的に低く抑えられたとしても、それは「日本の国債市場の個別要因」に基づいて金利動向が決まっていると言えるのではないか。
言葉を尽くしてもらえば「なるほど」と思えるのかもしれないが、自分の理解力では何回読んでも上記のくだりへの疑問が解けなかった。
もう1つ、同じように理解に苦しんだ部分がある。
【東洋経済の記事(77ページ)】
8月下旬、チャイナショックを引き金とした世界同時株安で買われた通貨は、なんとユーロだった。従来なら円が他通貨に対し全面高となるところ、今回はユーロが全面高となった。「ユーロが買われるポイントは3つある」と唐鎌氏は解説する。
(中略)2つ目が高い実質金利だ。消費者物価指数と10年金利から算出される実質金利は現状、ユーロ圏は米国より若干低いものの、ユーロ相場は3月の最安値から約10%上昇した。物価は来春までに0.5ポイント程度下押しされると考えられ、その分、実質金利は上昇する。実質金利高は買われる通貨の条件だ。
「高い実質金利だ」と書いているのに、「ユーロ圏は米国より若干低い」と出てくるので、まず面食らう。「今後高くなる」と言いたいのかもしれないが、ならば「2つ目が実質金利の上昇が見込まれることだ」などとした方がよい。
「ユーロ相場は3月の最安値から約10%上昇した」との説明も不十分だ。「10%上昇したユーロ相場」がドルに対してなのか何なのか分からない。「3月の最安値」も解釈に迷う。「3月の1カ月間の最安値」か「3月に付けた史上最安値」のどちらかだろう。しかし、前者は文脈上なさそうだ。後者だと誤りになってしまう。「今年に入ってからの安値」ぐらいの意味だとは思うが、記事からは何とも言えない。
付け加えると、「実質金利高は買われる通貨の条件」だとしても、それは他の通貨との比較の問題だ。米国では利上げが見込まれている。米国の物価動向は読めないものの、ユーロ圏と似たような動きになってもおかしくはない。米国でユーロ圏以上に実質金利が上がれば、ドルに対しては「買われる通貨の条件」を満たさない。
※記事の評価はC(平均的)。西村豪太編集長代理、中川雅博記者、福田淳記者の評価は暫定Bから暫定Cに引き下げる。緒方欽一記者も暫定でCとする。
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