2016年10月22日土曜日

包括利益は「平たく言えば含み損」? FACTAへの質問

FACTA11月号に「日経が中間決算で480億円の為替差損!」という記事が載っている。内容は興味深いのだが、用語の説明が雑すぎる。まずはFACTAへ送った問い合わせの中身を紹介したい。
下関側から見た関門橋 ※写真と本文は無関係です

【FACTAへの問い合わせ】

FACTA 発行人兼編集主幹 阿部重夫様

11月号の「日経が中間決算で480億円の為替差損!」という記事についてお尋ねします。記事には「日経は中間決算で累積為替差損480億円を『包括利益』の喪失として計上した。包括利益とは平たく言えば、含み損のこと」との記述があります。「包括利益」は純利益に有価証券など保有資産の時価変動分を加味した利益のことです。これを「平たく言えば、含み損のこと」と捉えるのは無理があります。「包括利益が100億円」という場合、例えば純利益120億円から含み損20億円を差し引いたものとなります。しかし「包括利益とは平たく言えば、含み損のこと」であれば、包括利益は20億円に近い金額となるはずです。

また、「包括利益=含み損」と理解すると、今回の記事では「日経の為替差損480億円=日経の含み損の喪失480億円」となってしまい、為替差損が日経の業績のプラス要素となってしまいます。「包括利益とは平たく言えば、含み損のこと」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。「平たく」が入っているとは言え、記事の解説は「包括利益」の正確な定義と大きく乖離しています。記事中の説明に問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

ついでで恐縮ですが、以下のくだりも理解に苦しんだので、問い合わせさせていただきます。

「FT買収でマンパワーを関連部門にとられ、従来もひどかった現場の負担はますます重くなった。『お前ら、原稿製造機になりきらないと過労死するぞ』と、飲み屋で先輩記者が後輩を叱る光景が目に浮かぶ」

これを読むと「原稿製造機になりきれば過労死を避けられる」との印象を抱きます。しかし「原稿製造機になりきれ」と言われると「仕事を選り好みせず、会社に言われるままひたすら原稿を吐き出し続ける疲れを知らない機械のような記者になれ」と求められているような気がします。それはむしろ過労死への道ではありませんか。

上記のくだりはどう解釈すればよいのでしょうか。個人的には「お前ら、原稿製造機になりきって会社から求められるままに記事を書き続けていたら過労死するぞ」となっている方が、日経記者への助言としては違和感がありません。

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※今回のFACTAの記事には色々と考えさせられる部分があった。それらについては「FACTA『日経が中間決算で480億円の為替差損』に思うこと」(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/facta480.html)で触れたい。

※上記の問い合わせに対するFACTAの回答は「『包括利益は含み損』に関するFACTAの回答に抱いた期待」(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/facta_28.html)で紹介している。

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