2016年10月20日木曜日

「フォード減産」使い回す日経 中西豊紀記者 不治の手抜き

日本経済新聞の中西豊紀記者の手抜きが凄い。19日の夕刊では1面で「主力のピックアップトラック フォード、米で減産」という記事を書き、その内容を膨らませてマーケット・投資1面で「ウォール街ラウンドアップ~『国民トラック』減産の意味」というコラムにしている。同じ日の夕刊で大幅に内容をダブらせて書く度胸には驚く。

競秀峰(大分県中津市) ※写真と本文は無関係です

中西記者の「ウォール街ラウンドアップ」は米国の株式市場とほとんど絡めずに自動車業界の話をあれこれして終わるだけという手抜きパターンが目立つ。今回もその例に漏れない。なので、19日のコラムは二重の意味で手抜きになっている。

ウォール街ラウンドアップ」の最初の方を見ていこう。

【日経の記事】

18日のダウ工業株30種平均は反発。好決算を発表したゴールドマン・サックスが上げ、資産運用大手のブラックロックも買いが先行した。

米国でピックアップトラックといえば、フォード・モーターの「F150」を指すとされる。そんな「国民車」の一時的な減産をフォードが決めた。F150を含めたFシリーズのトラックは9月の販売が前年同月比2.6%減。同社は「需要に生産量を合わせるため」とし、よくある生産調整の一環と説明する。

だが、額面通りに受け止める業界関係者はいないだろう。原油安と低金利でいまや米国の新車市場の6割はピックアップトラックなどの大型車。けん引役がFシリーズだったからだ。F150の需要減は米市場全体の冷え込みを連想させる。

実際は何が起きているのか。調査会社オートデータによると、9月の米新車販売は前年同月比0.5%減。前年割れは2カ月連続で、6年にわたり拡大を続けてきた新車市場は天井を付けた可能性が高い。フォードも7月時点で「2016年後半は販売が減る」との見通しを示している。

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米国の株式市場については「18日のダウ工業株30種平均は反発。好決算を発表したゴールドマン・サックスが上げ、資産運用大手のブラックロックも買いが先行した」と書いただけで、次の段落から何のつながりもなくフォードのピックアップトラックの話に移っている。記事では最後まで自動車業界絡みの話が続く。これでは「ウォール街ラウンドアップ」とは言い難い。

例えばフォードの株価動向と絡めて論じるのは難しくないはずだが、中西記者はそうした分析を試みようとはしない。市場関連記事を書くのが得意ではないのは分かる。だからと言って怠慢を続けていいわけではない。

自動車業界話としては出来がいいのかと言えば、そうでもない。例えば「よくある生産調整の一環」というフォードの説明を「額面通りに受け止める業界関係者はいないだろう」と述べた後に、その理由として「原油安と低金利でいまや米国の新車市場の6割はピックアップトラックなどの大型車。けん引役がFシリーズだったからだ」と解説している。

これでは「額面通り」に受け取れない理由になっていない。「よくある生産調整ですよ。心配は不要です」といった説明を額面通りに受け取れない場合、その会社の業績悪化が深刻であることを多くの人が知っているといった理由があるはずだ。記事にはその辺りの説明がない。

1面の記事と重複する情報が多いのも気になる。列挙してみたい。

【1面】

米フォード・モーターは18日、ピックアップトラックの旗艦車種「F150」の一部生産を24日から7日間休止することを明らかにした。(中略)ミズーリ州カンザスシティーの工場でラインを止める。

【マーケット・投資1面】

フォードの減産は24日から7日間、ミシガン州とミズーリ州にある2工場のうちミズーリを止める。

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【1面】

減産理由についてフォード広報は「需要に生産レベルをあわせるため」としている。

【マーケット・投資1面】

同社は「需要に生産量を合わせるため」とし、よくある生産調整の一環と説明する。

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【1面】

一部米報道ではFシリーズの販売店在庫は約3カ月と、健全水準の2カ月を大きく上回っているもよう。在庫のさらなる増加を防ぐため、早期の生産調整に踏み切ったとみられる。


【マーケット・投資1面】

一部報道では、9月末のFシリーズの店頭在庫は93日と年初の83日を上回っているもよう。65日程度が健全域とされる中、約3カ月もの在庫は調整が不可欠だ。

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【1面】

調査会社オートデータによると、9月の米新車販売は前年同月比0.5%減。6年拡大が続いた新車市場に飽和感が強まるなか、人気のピックアップトラックも例外ではなくなっている。

【マーケット・投資1面】

調査会社オートデータによると、9月の米新車販売は前年同月比0.5%減。前年割れは2カ月連続で、6年にわたり拡大を続けてきた新車市場は天井を付けた可能性が高い。

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「『ウォール街ラウンドアップ』のために新たなネタを用意するのは労力の無駄だ。こんなコラムはネタの使い回しで対応すれば十分」「『ウォール街ラウンドアップ』なんて、最初に米国の株式市場の話をちょっと入れれば、後は『ウォール街』と関係のない話に終始しても問題ない」--。中西記者にはこんな認識があるのだろう。そうでなければ、ここまでの手抜きはできない。

中西記者の手抜きについては「不治の病」だと思える。対処法としては「ウォール街ラウンドアップ」の筆者から外すしかない。市場関連記事を書きたいという意欲は中西記者にもないはずだ。やる気のないニューヨークの記者にコラムを任せるぐらいなら、東京本社の証券部で「NY市場に関して書きたいことがある」と手を挙げた記者に頼る方がはるかに好ましい。


※記事の評価はD(問題あり)。中西豊紀記者への評価もDを据え置く。同記者に関しては「日経 中西豊紀記者『ウォール街ラウンドアップ』の低い完成度」(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/11/blog-post_5.html)「苦しすぎる日経 中西豊紀記者『ウォール街ラウンドアップ』」(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_45.html)「日経『ウォール街ラウンドアップ』中西豊紀記者の安易さ」(http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_61.html)も参照してほしい。

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