2016年10月14日金曜日

日銀の長期金利誘導は「世界初」? 日経「日銀ウオッチ」

13日の日本経済新聞夕刊マーケット・投資2面に載った「日銀ウオッチ~走った総裁、果たした責任」という記事では、日銀が「長期金利を金融政策の誘導目標に置く」ことを「世界で初めて」の試みだと書いていた。しかし、1940年代の米国で似たような政策があったはずだ。日経の別の記事でも「黒田日銀が9月に導入した長期金利誘導には『前例』がある」と述べている。
水前寺成趣園(熊本市) ※写真と本文は無関係です

この件で日経に以下の問い合わせを送った。

【日経への問い合わせ】

10月13日の夕刊に掲載された「日銀ウオッチ~走った総裁、果たした責任」という記事についてお尋ねします。記事には「予定通りにG20会議の席に着いた総裁は、異次元緩和の『総括的な検証』を踏まえ、新たな金融政策の枠組みへの移行理由を説明。世界で初めて長期金利を金融政策の誘導目標に置く試みを自らの口で伝えるという責任を果たした」との記述があります。

一方、10月6日付の日経電子版の「金利くぎ付け、米国の経験  日本国債 見えざる手を冒す(1)」という記事で石川潤記者は以下のように書いています。

「黒田日銀が9月に導入した長期金利誘導には『前例』がある。米連邦準備理事会(FRB)が1942年春に導入した長期金利を2.5%以下に抑え込む政策だ(中略)FRBが長期金利の操作を始めたのは、1941年12月の日本軍による真珠湾攻撃がきっかけだ。政府が低利で戦費を調達できるように、42年春に短期金利(3カ月物)を0.375%に固定し、長期金利(25年債利回り)は2.5%を上回らないようにすることをひそかに決めた」

馬場記者を信じれば、世界で初めて「長期金利を金融政策の誘導目標に置く試み」を実行に移したのは日銀のはずです。しかし、石川記者は1940年代の米国に「前例」があると書いています。40年代の米国での長期金利の固定化政策に関しては、他のメディアも言及しており、日銀を「世界初」とする馬場記者の説明が誤りだと思えます。仮に馬場記者の説明が正しいとすれば、石川記者の解説が誤りとなります。

どちらの記事の説明が間違っているのでしょうか。いずれも正しいとの判断であれば、その根拠も併せて教えて下さい。

日経では、記事中の間違いを放置するのが当たり前になっています。憂慮すべき事態ですが、改善の兆しさえ見られません。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心がけてください。

----------------------------------------

黒田日銀が9月に導入した長期金利誘導には『前例』がある」ことを馬場記者は知らなかったのだろう。日銀担当記者としては勉強不足だとも言えるが、知らなかったこと自体を責めるのは酷だと思う。ただ、きちんと確認せず「世界で初めて」と書いたのは問題だ。

記事を書いた経験がそこそこあれば「初めて」と言い切るのは危険だと認識していなければならない。もし、この認識ができていれば今回のミスは生じなかっただろう。


※「日銀ウオッチ」の評価はD(問題あり)。馬場燃記者への評価も暫定でDとする。

追記)結局、回答はなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿