2015年6月4日木曜日

ダイヤモンド「鈴木敏文」礼賛記事への忠告(2)

週刊ダイヤモンド6月6日号の特集「流通最後のカリスマ 鈴木敏文の破壊と創造」について、具体的な注文をいくつか付けておく。


(1)鈴木氏が「流通最後のカリスマ」?

まずタイトルの「流通最後のカリスマ」が大げさだ。鈴木氏が「最後のカリスマ」ならば、ファーストリテイリングの柳井正氏は「非カリスマ」なのだろうが、柳井氏を「流通業界のカリスマ」と称して文句を付ける人はまれだろう。


(2)なぜ鈴木氏に教えてあげない?

夕暮れ時のデュッセルドルフ(ドイツ)
                  ※写真と本文は無関係です
今回の特集で鈴木氏は以下のように語っている。


【鈴木氏の発言部分】

僕は、これまでずっと「時代の変化に対応しなさい」と言い続けてきたんですよ。時代が大きく変わっているのだから、仕事のやり方も変えなければいけないよと

だから、みんな分かってるものだと思っていた。確かにセブン-イレブンの連中はみんな分かってる。ところがねぇ、イトーヨーカ堂の連中は分かってないんですよ。時代の変化に対応するとはどういうことなのかということを。


鈴木氏お得意の「自分は正しいことを言っているのにヨーカ堂の人間は言うことを聞かない。だからヨーカ堂の業績が上向かないんだ」という弁明パターンだ。何十年も経営のトップに君臨していて「ヨーカ堂の人間は言うことを聞かない」もないと思うが、だったらよく分かっているセブンイレブンの人間を送り込めば済む話だ。個人的には、ここが経営者として鈴木氏の一番の問題だと思っている。ヨーカ堂の業績低迷の責任を社員に押し付けすぎる。

しかし、特集の最後の記事で取材班は「日本中どこを探しても、セブン&アイほどトップの意向が染み渡っている強靭な組織などないにもかかわらずだ」と書いている。つまり取材班から見れば、「イトーヨーカ堂の連中は分かってないんですよ」という鈴木氏こそ「分かっていない」はずだ。ならば、そこを鈴木氏になぜ問わなかったのか。「鈴木氏こそ分かっていない」となぜ記事に書かなかったのか。

「ヨーカ堂の社員は分かってない」という発言を、経営者として恥ずかしい言い訳だと捉える目を記者には持ってほしい。どうしてもヨーカ堂の社員に伝わらないならば、分かる人と入れ替えて組織を作り変えるだけの権限も時間も鈴木氏にはあった。そこを見逃して鈴木氏への礼賛に走るならば、メディアとしての存在意義はない。


※特集の中で、ヨイショ記事の最たるものと思えたのが「世界初がめじろ押し! 恐るべしセブンの開発力」という記事だ。これに関しては、ダイヤモンドに問い合わせをした。同誌とのやり取りを(3)で紹介する。

(つづく)

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