2015年6月11日木曜日

日経 北沢千秋編集委員への助言(2)

10日付の日経朝刊マネー&インベスト面に出ていた「株、2万円からの投資戦略」に関して、気になる点をさらに見ていこう。


【日経の記事】

下値は限られるとしても、業績見合いでみた年内の日経平均の上値メドが最大で2万2000円だとすると、足元の水準からの上げ余地は9%程度になる。今後の投資戦略は、前提とする投資の期間によっても変わりそうだ

「超低金利の環境下に半年で1割近い上昇が見込める投資対象は日本株以外に見当たらない。だから日本株は買い」と言うのはマネックス証券の広木氏。

一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは「個人投資家には、ここからはあまり無理をしないでとアドバイスしたい」と話す。上げ余地は限定的なので、中長期の投資なら追加資金の投入や上値追いは慎重に考えた方がいい、というわけだ。


上記の説明はやや分かりにくい。マネックス証券の広木氏は「買い」で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼氏は「ここからは慎重に(つまりやや弱気)」と言っているだけで、投資期間によってどう戦略が変わるかはコメントしていない。しかし、芳賀沼氏のコメントの後に北沢編集委員が「中長期の投資なら追加資金の投入や上値追いは慎重に」と解説を加えているので、たぶん広木氏は「短期ならば買い」、芳賀沼氏は「中長期ならば慎重(弱気)」との立場なのだろう。

引っかかるのは「上げ余地は限定的なので、中長期の投資なら追加資金の投入や上値追いは慎重に考えた方がいい」という解説だ。記事で言う「上げ余地」とは今期業績見通しを基にした年内の株価の話だろう。「今後は急落しそう」と予想しているならともかく、年内の上げ余地が限られるからと言って、中長期の投資に慎重になる必要があるだろうか。例えば投資期間を10年と考える場合、あくまで10年間の見通しを基に判断すべきだ。「10年間で考えると投資のタイミングとしては悪くないけど、年内の上げ余地が限定的だから追加投資はやめておこう」との判断に合理性は感じられない。

記事の結論部分も改めて見てみよう。


【日経の記事】

今後も緩和マネーや世界景気の回復を原動力に資産価格は上昇を続けるかもしれず、投資をやめて利益を得る可能性を放棄してしまうのも得策ではなさそうだ。ただ、中長期の資産運用では、少なくとも日本株なら日本株だけというように、1つの資産にリスクを集中するのは避けた方がいい

インフレ対応だけでなく、日本がデフレに逆戻りする可能性も考えて資産を分散するのが得策」(中窪文男UBS証券ウェルス・マネジメント本部最高投資責任者)。先のことは読めないからこそ、分散投資の意味がある。


まず、記事で分散投資を勧めているのに、「中長期の資産運用では」と限定しているのが気になった。分散によりリスクを低減できるからろいう理由で分散投資を勧めるのであれば、それは期間を問わないはずだ。わざわざ「中長期」に限定する場合、その理由も欲しい。

最後の段落では、それまで全く話題に上らなかったインフレとデフレの話が唐突に出てくる。そして専門家の「デフレに逆戻りする可能性も考えて資産を分散するのが得策」とのコメントを紹介している。なのに、具体的にどうすればいいのかヒントもない。記事中でも言及しているように「債券価格は高水準」なのだから、債券を組み込んでもデフレ対策としてあまり効果はなさそうだ。「商品先物の売りを組み込め」とでも言いたいのだろうか。こんな中途半端な言及しかできないのなら、インフレやデフレに触れる必要はないだろう。


※記事の評価はD。北沢千秋編集委員への評価もDを維持する。良い機会なので、(3)では北沢編集委員が2014年に書いた記事を取り上げたい。

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