週刊東洋経済9月26日号の特集「コロナ時代の株入門」はタイトルから判断して投資初心者を読者に想定しているのだろう。しかし「株式投資6つの基礎」の1つとして取り上げた「買うタイミングはこう探す~株価チャートは宝の山」という記事は投資初心者に薦められない。
佐賀市立赤松小学校 ※写真と本文は無関係 |
個人的には「株価チャートは宝の山」という考えに同意できない。「買うタイミング」を「株価チャート」から探るのは意味がないとも思っている。しかし考えを改める用意もある。そのためには「株価チャートは宝の山」だと納得できるエビデンスが欲しい。しかし今回の記事には見当たらない。
なのにライターの安恒理氏は以下のように書いている。
【東洋経済の記事】
今後、株価は上昇するのか下落するのか。その予測ができれば投資は成功する。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)で株価の割高感、割安感はわかっても、目先の値動きまでは予測できない。
そこで現在の株価がどの位置にあるのかを過去の値動きから分析するやり方、テクニカル分析が役に立つ。株の値動きをグラフ化したツール「株価チャート」を使って株価の動きを予測するのだ。
◎「役に立つ」と言い切るが…
「テクニカル分析が役に立つ」と安垣氏は言い切っている。「役に立つ」と言われると株式市場で利益を得られる確率を高められると受け取りたくなる。安垣氏は「テクニカル分析」のやり方を教えてはくれるが、それが「役に立つ」と言えるデータは示していない。
記事には「ソフトバンクグループ」の今年の「株価チャート」が付いている。これが「デッドクロス(下落の予兆)」「ゴールデンクロス(上昇の予兆)」といった考え方に上手く当てはまるからだろう。だが、期間や銘柄を変えるとどうなるかは不明だ。当然に上手く当てはまらない場合も出てくるはずだ。全体で見て、どの程度の確率で当てはまるのかというデータが欲しい。
有効性を示す明確なエビデンスがないのならば、胡散臭い分析手法だと見なすべきだろう。投資初心者に「テクニカル分析が役に立つ」と伝えるのは、やはり感心しない。
※今回取り上げた記事「買うタイミングはこう探す~株価チャートは宝の山」https://premium.toyokeizai.net/articles/-/24725
※記事の評価はD(問題あり)
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