日本経済新聞の自社モノの扱いが気になる。25日の朝刊社会面に載った「鶴田元本社社長のお別れの会~各界から800人が参列」という記事は写真付きの2段見出しで、そこそこ目立つ。これは日経の読者にとって適切な扱いなのか。
九州佐賀国際空港※写真と本文は無関係です |
記事の全文は以下の通り。
【日経の記事】
日本経済新聞社の社長・会長を務め、3月13日に死去した鶴田卓彦氏の「お別れの会」が24日午前11時から東京・帝国ホテルで開かれた。各界から約800人が参列し、故人をしのんだ。
新型コロナウイルス感染症予防のため、順次献花する形となった。マスクを着けた参列者は、鶴田氏の遺影の前に設けられた献花台に次々と白いカーネーションを供えた。
参列者は献花の後、別室に展示された写真や映像を見ながら故人のありし日を振り返った。
政界からは山東昭子参院議長や西村康稔経済財政・再生相、東京都の小池百合子知事、経済界からは元経団連会長でキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長らが参列した。
◎死亡記事で十分では?
「鶴田卓彦氏」の死亡記事を載せるなとは言わない。しかし「お別れの会」を開いたことを読者に伝える必要があるのか。「鶴田卓彦氏の『お別れの会』」は日経にとって重要かもしれないが、読者にとっての重要性は非常に低いと思える。
自社モノを大きく取り上げることを「恥ずかしい」「読者軽視」と見る社員はかなりいるだろう。しかし、編集局の判断としては写真付き2段見出しになってしまう。そこに日経の問題点が透けて見える。
自社モノに関して問題を感じた記事をもう1つ挙げておく。24日朝刊経済面に載った「R&I顧問に杉本氏~前公取委員長」というベタ記事だ。全文は以下の通り。
【日経の記事】
格付投資情報センター(R&I)は23日、公正取引委員会前委員長の杉本和行氏を20日付で顧問に迎えたと発表した。杉本氏は財務省出身。財務次官などを経て13年3月から7年半、公取委員長を務めた。
◎R&Iの「顧問」人事が要る?
「格付投資情報センター(R&I)」は上場企業でもなければ、著名な企業でもない。その会社の「顧問」の人事をベタ記事とはいえ載せる意義があるのか。
「R&I」が日経グループの企業だから記事にしたのだろう。あとは「杉本和行氏」への気遣いか。「財務次官などを経て13年3月から7年半、公取委員長を務めた」大物をグループ企業の「顧問」に迎えたのに記事にしないのは失礼と考えたのかもしれない。
しかし、一読者の立場から見ると、経済面でベタ記事として取り上げるべき人事情報とはとても思えない。
自社モノであっても記事は記事だ。ニュースとしての価値が低ければ、紙面化の優先順位はきちんと落としてほしい。どうしても記事として載せたい場合でも、できるだけ扱いを小さくすべきだ。そこにメディアとしての良識がにじみ出るのではないか。
※今回取り上げた記事
「鶴田元本社社長のお別れの会~各界から800人が参列」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200925&ng=DGKKZO64203090U0A920C2CR8000
「R&I顧問に杉本氏~前公取委員長」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64144860T20C20A9EE8000/
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