2019年4月21日日曜日

日経社説「旅行サイトの価格に透明性を」の辻褄合わない説明

宿泊料を競合するサイトと同じか、それ以下にさせる条項」があると「ホテルは需要に応じた機動的な値下げができない」事態に陥るだろうか。ならなさそうな気がするが、日本経済新聞の論説委員は「機動的な値下げができない」と確信して社説を書いているようだ。日経には以下の内容で問い合わせを送った。
流川桜並木(福岡県うきは市)
       ※写真と本文は無関係です

【日経への問い合わせ】

21日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「旅行サイトの価格に透明性を」という社説についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

検査の対象は楽天トラベル、ブッキング・ドット・コム、エクスペディアを運営する3社。サイトで宿泊客を集め、ホテルから手数料を得るプラットフォーマーだ。ホテルとの契約の中で、宿泊料を競合するサイトと同じか、それ以下にさせる条項を設けていた疑いがあるという。これが事実だとすれば、ホテルは需要に応じた機動的な値下げができない。価格競争がゆがみ、料金が割高に設定されていた可能性がある

宿泊料を競合するサイトと同じか、それ以下にさせる条項を設けていた」場合、「ホテルは需要に応じた機動的な値下げができない」と言い切っています。しかし、この「条項」は「宿泊料を競合するサイトと同じか、それ以下にさせる」ことを求めているだけです。「機動的な値下げ」は禁じていません。

契約しているサイト全てにこの「条項」があっても、1泊1万円の提示額をホテル側が8000円にしたいと考えた場合、簡単にできます。全てで8000円を提示すればいいだけです。自社サイトだけ7000円といった「値下げ」はできませんが、価格を揃えれば7000円への引き下げも可能です。

これが事実だとすれば、ホテルは需要に応じた機動的な値下げができない」との説明は誤りだと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

料金が割高に設定されていた可能性がある」との説明も解せません。「可能性」がゼロとは言いませんが、「機動的な値下げ」はできるのですから「料金が割高に設定されていた可能性」は低いと考える方が自然です。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


筆者は「自社サイトだけ安くするといった機動的な価格設定ができない」と言いたかったのだろう。もしそうならば、そう書くべきだ。


※今回取り上げた社説「旅行サイトの価格に透明性を
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190421&ng=DGKKZO44007360Q9A420C1EA1000


※社説の評価はD(問題あり)。

0 件のコメント:

コメントを投稿