筑後川沿いの桜と菜の花(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
ラーメン店「日高屋」を展開するハイデイ日高は4日、2020年2月期の単独の税引き利益が前期比1%増の31億円になる見通しだと発表した。季節メニューの充実などで既存店の売上高は前期並みを見込む。一方、人件費が膨らむほか、米など食材費が増加。売上高原価率は27.3%と前期比0.3ポイント上がる。
売上高は435億円と前期比4%増える見通し。日高屋や焼き鳥店「焼鳥日高」の出店を増やす。人件費増に対応し、券売機を新店に加え既存店にも順次、試験的に導入する予定だという。
◎増益理由が…
「ハイデイ日高」の「2020年2月期の単独の税引き利益が前期比1%増の31億円になる見通しだ」というのが記事の柱だ。「ほぼ横ばい」「増益」のどちらで見るか微妙だが、ここでは「増益」の前提で話を進める。
その場合「なぜ増益見通しになるのか」は必須だ。しかし、記事からはその理由が読み取れない。
「既存店の売上高は前期並み」で「人件費が膨らむほか、米など食材費が増加。売上高原価率は27.3%と前期比0.3ポイント上がる」らしい。ここまで読むと減益になりそうな雰囲気だ。
「売上高は435億円と前期比4%増える見通し」なので、「新店の寄与で増益確保」という話かもしれない。ただ、あくまで推測だ。肝心の材料を読者に提示していないのに「人件費増に対応し、券売機を新店に加え既存店にも順次、試験的に導入する予定だという」などと重要性の低い話を書いて記事を締めてしまう。
記事の書き方としては「持っている材料をとりあえず並べてみました」といったレベルだ。
業績関連記事を書く基礎的な技術を身に付けていれば、どうなるか。以下のようなプロセスを経て構成が決まるはずだ。
(1)「増益と見るか横ばいと見るか」を決める。ここでは「増益」とする。
(2)あくまで「微増益」なので、これを「健闘」と捉えるか「苦戦」と捉えるかを決める。ここでは「苦戦」とする。
(3)「増益ではあるが1%増と苦戦しそうだ」と読者に伝えるための構成を考える。
ざっとこんな感じだ。構成としては「既存店売上高は横ばい。新店の寄与で増益は確保するものの、人件費や食材費の増加で原価率が上昇して利益の伸びを抑える」といった流れか(繰り返すが「新店の寄与で増益確保」はあくまで推測)。
この記事を書いた記者は、こうした点をあまり考えずに行数を埋めたのだろう。そしてデスクもきちんと指導できなかった。日経編集局内の誰かが「まだ基礎が身に付いていないよ」と記者に教えてあげてほしい。
※今回取り上げた記事「ハイデイ日高が税引き益1%増 今期単独31億円」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190405&ng=DGKKZO43338800U9A400C1DTA000
※記事の評価はD(問題あり)。
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