2018年2月8日木曜日

「高齢者人口が急増」に関する日経ビジネスの回答に注文

日経ビジネス2月5日号の特集「幸せ100歳達成法~長生きリスクを越える」の中に「猛スピードで進む高齢者の増加」という説明があった問題で、日経BP社から回答があった。その内容を紹介するとともに、回答に注文を付けておきたい。問い合わせと回答は以下の通り。
横浜赤レンガ倉庫(横浜市)※写真と本文は無関係です


【日経BP社への問い合わせ】

日経ビジネス編集部 武田健太郎様 武田安恵様

2月5日号の特集「幸せ100歳達成法~長生きリスクを越える」の中の「PROLOGUE~2100年 日本はこうなる 人口・暮らし・社会を大胆予想」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下の記述です。

むしろ生まれる子供はもっと減り、76年の年間出生数は50万人を割り込むと予想されている。少子高齢化ならぬ『無子高齢化社会』が本格化するのだ。猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少。今後、100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来を統計から予想するとこんな姿になる

引っかかったのは「猛スピードで進む高齢者の増加」です。高齢社会白書(2017年版)によると、高齢者(65歳以上)人口は2016年が3459万人で、42年に3935万人とピークを迎え、65年には3381万人にまで減る見込みです。

記事からは「76年」の時点でも「高齢者の増加と人口減少」が「猛スピードで進む」ような印象を受けます。しかし、この頃には高齢者は減少傾向となっているはずです。

猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少」とは「100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来2100年ごろまで」に関する記述だとも解釈できます。その場合は約80年のうち60年近くも高齢者人口が減り続ける可能性大です。しかも65年には今より高齢者人口が少なくなるのです。

また、16年からピークの42年までの26年間でも、14%しか高齢者人口は増えません。この期間に限っても「猛スピードで進む高齢者の増加」とは言えないでしょう。

100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来を統計から予想する」場合、「高齢者人口は2040年代まで緩やかに増え続けるが、その後は減少に転じる」とでも書くのが適切ではありませんか。「猛スピードで進む高齢者の増加」が2100年頃に向けて進むとの記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。

付け加えると「無子高齢化社会」との表現には問題を感じました。出生数が49万人であっても明らかに「無子」ではありません。少なくとも不正確であり、厳しく言えば誤りです。また、「50万人」で「無子」かどうかを線引きする根拠もないはずです。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。


【日経BP社からの回答】

弊誌「日経ビジネス」をご愛読いただき、誠にありがとうございます。2月5日号の特集「幸せ100歳達成法~長生きリスクを越える」に問い合わせいただいた件につきまして、回答いたします。

23ページの特集記事本文中、「むしろ生まれる子供はもっと減り、76年の年間出生数は50万人を割り込むと予想されている。少子高齢化ならぬ『無子高齢化社会』が本格化するのだ。猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少。今後、100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来を統計から予想するとこんな姿になる。」とのくだりにつきまして「76年」の時点でも「高齢者の増加と人口減少」が「猛スピードで進む」ような印象を受ける。しかし、この頃には高齢者は減少傾向となっているので、「猛スピードで進む高齢者の増加」は誤りではないかとのご指摘でした。

高齢社会白書によりますと高齢者人口がピークを迎えるのは42年と予想されており、その後、減少に転じるとみられているのはおっしゃる通りです。

 弊誌として「猛スピードで……」以下の部分で読者にお伝えしたかったのは、「今後、100歳近くまで生きる今の子供たち」が生きていくうえで「猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少」の両方を経験するということです。それ以前の記述も踏まえたもので、76年時点に限定しているわけではありません。

ただ、直前に76年について触れておりますため、ご指摘いただいたように、あいまいな面があったかもしれません。今後、より正確さを期すよう努めて参りたいと考えています。

◇   ◇   ◇

回答内容への不満は2つある。

◎「2100年ごろまで」を無視

確かに問い合わせでは「記事からは『76年』の時点でも『高齢者の増加と人口減少』が『猛スピードで進む』ような印象を受けます」と書いたが、さらに「『猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少』とは『100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来=2100年ごろまで』に関する記述だとも解釈できます」とも述べた。
大平山山頂からの風景(福岡県朝倉市)
     ※写真と本文は無関係です

つまり、問い合わせの時点から「76年時点の話ではない可能性がある」と明示している。にもかかわらず、回答では「それ以前の記述も踏まえたもので、76年時点に限定しているわけではありません」と説明している。これでは、きちんとした回答とは言えない。


◎2042年までは「猛スピード」?

問い合わせでは「16年からピークの42年までの26年間でも、14%しか高齢者人口は増えません。この期間に限っても『猛スピードで進む高齢者の増加』とは言えないでしょう」と指摘した。しかし、この問題には触れずに「『今後、100歳近くまで生きる今の子供たち』が生きていくうえで『猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少』の両方を経験する」と回答している。

「26年間で14%でも猛スピードでの増加だ」との判断ならそれでもいい(もちろん無理はあるが…)。そこはしっかり見解を示してほしかった。ちなみに「2042年までは高齢者人口が猛スピードで増加する」との前提ならば「『猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少』の両方を経験する」世代を「今後、100歳近くまで生きる今の子供たち」に限定する必要はない。今の30代や40代も過半数が2042年を生きるはずだ。


※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「人生100年」に無理がある日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/100100.html

年金支給開始85歳でも「幸せ」? 日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/85-100.html

今世紀中は高齢者が急増? 日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/100_7.html

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