2018年2月7日水曜日

「万里の長城」は中国拡大主義の象徴? 日経 秋田浩之氏の誤解

7日の日本経済新聞朝刊オピニオン面に載った「Deep Insight~米中 ぶつかり合うDNA」で、筆者の秋田浩之氏(肩書は本社コメンテーター)が「万里の長城」について誤りだと思える解説をしていた。秋田氏によると中国には「周辺に自前の影響圏(朝貢圏)を広げ、囲い込もうとする性質」があり、「その証しが万里の長城である」という。一般的な認識とは逆と言ってもいい説明だ。日経には以下の内容で問い合わせを送っている。
帆船日本丸(横浜市)※写真と本文は無関係です


【日経への問い合わせ】

Deep Insight~米中 ぶつかり合うDNA」という記事についてお尋ねします。記事中で筆者の秋田浩之氏(本社コメンテーター)は中国に関して以下のように記しています。

一方の中国にも、独自のDNAがある。それは周辺に自前の影響圏(朝貢圏)を広げ、囲い込もうとする性質だ。その証しが万里の長城である。中国が一帯一路構想の実現に向けて疾走するのも、国力が増すにつれ、再び、遺伝子の働きが活発になってきたことの表れといえるだろう

秋田氏は中国に「周辺に自前の影響圏(朝貢圏)を広げ、囲い込もうとする性質」があり「その証しが万里の長城である」と言い切っています。これを信じれば「万里の長城」は歴史的に中国の拡大主義の象徴であったはずです。本当でしょうか。

朝日新聞では「万里の長城」について「中国北部を東西に走る城壁。紀元前から、北方からの異民族侵入を防ぐために築かれ、秦の始皇帝が大増築した」と解説しています。

デジタル大辞泉によると「中国本土の北辺に築かれた長大な城壁。春秋時代に斉(せい)・燕(えん)・趙(ちょう)・魏(ぎ)などの諸国が国境に築いたもので、秦の始皇帝が匈奴(きょうど)の侵入を防ぐために燕・趙の長城を用いて万里の長城とした。南北朝時代から位置を南に移し、現存のものはモンゴルの侵入に備えて明代に築かれたもの」となっています。

基本的には「北方からの異民族侵入を防ぐため」のもので、拡大主義の象徴というよりは防衛目的の建造物と考えるべきです。「(中国が)周辺に自前の影響圏を広げ、囲い込もうとする性質」の証しとして「万里の長城」を捉えるのは誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社として、掲げた旗に恥じぬ行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

回答は届かないだろう。

※追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「Deep Insight~米中 ぶつかり合うDNA
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26590380W8A200C1TCR000/


※記事の評価はD(問題あり)。秋田浩之氏への評価もDを据え置く。秋田氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日経 秋田浩之編集委員 「違憲ではない」の苦しい説明
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post_20.html

「トランプ氏に物申せるのは安倍氏だけ」? 日経 秋田浩之氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/02/blog-post_77.html

「国粋の枢軸」に問題多し 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/03/deep-insight.html

「政治家の資質」の分析が雑すぎる日経 秋田浩之氏
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/08/blog-post_11.html

話の繋がりに難あり 日経 秋田浩之氏「北朝鮮 封じ込めの盲点」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/blog-post_5.html

ネタに困って書いた? 日経 秋田浩之氏「Deep Insight」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/deep-insight.html

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