2016年12月27日火曜日

二刀流は「過去に例がない」? 東洋経済「2017年大予測」

日本ハムファイターズの大谷翔平選手のような「二刀流」の選手が過去にもいたことは、かなり知られた話だと思っていた。ところが、週刊東洋経済12月31日・1月7日合併号の特集「2017年大予測」の中で「過去に例がない」と言い切っていた。そこで東洋経済に問い合わせを送ってみた。
柳川高校(福岡県柳川市) ※写真と本文は無関係です

【東洋経済への問い合わせ】

週刊東洋経済編集長 西村豪太様

12月31日・1月7日合併号の特集「2017年大予測」についてお尋ねします。北海道日本ハムファイターズ監督である栗山英樹氏へのインタビュー記事の中に「過去に例がない、大谷翔平選手の『二刀流』(投手と打者両方での試合出場)を確立させるなど、指導者として手腕を発揮」と栗山氏を紹介しています。しかし「二刀流」は大谷選手を除くと「過去に例がない」のでしょうか。

例えば関根潤三氏に関して、2013年の日経の記事に以下のような略歴が掲載されています。

「関根 潤三(せきね・じゅんぞう) 東京都出身。旧制日大三中から法大を経て1950年、近鉄に入団。最初は投手で合間に一塁手などで出場、57年から完全に野手に転向。プロ野球史上ただ一人、球宴に投手と野手でそれぞれ出場経験を持つ。巨人に移籍した65年オフに現役を引退。投手として通算65勝94敗、防御率3.43、打者として通算1137安打、打率2割7分9厘の成績を残した」

関根氏だけではありません「“元祖二刀流”野口二郎のとてつもない記録とは…」という2016年10月17日のスポーツ報知の記事ではこう書いています。

「(野口二郎の)二刀流は戦後になっても続き、その集大成が46年にマークした31試合連続安打という当時のプロ野球新記録である。戦争で肩を痛めたこともあり制球重視の老練な投手に生まれ変わり、野手としても外野に“コンバート”されていた。が、期間中は4度の完投を含め13試合に登板しながら、4安打2度を含め131打数48安打の打率3割6分6厘。この記録は当時は発見されず、48年に25試合連続安打を放った金星・坪内道則が新記録とされた」

こうした報道などから判断すると「過去に例がない」との記述には疑念が生じます。御誌の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。

御誌では読者からの間違い指摘を握りつぶす対応が常態化しています。日本を代表する経済誌の編集長として良心に恥じない選択をしてください。

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問い合わせでは触れなかったが、「『二刀流』(投手と打者両方での試合出場)」という説明も問題なしとしない。「投手と打者両方での試合出場」でいいのならば、「二刀流」は全く珍しくない。指名打者制のないセ・リーグでは投手が当たり前に打席に立っている。

大谷選手を念頭に置いてプロ野球における「二刀流」を定義すると「投手・打者の両方で主力選手を目指すこと」辺りが適当だと思える。


※東洋経済の問い合わせ関連業務は既に年末年始休みに入っており、回答は1月4日以降になるらしい。西村豪太編集長がこれまでの行いを反省して新年には正しい道へ戻ってくるよう祈ろう。その可能性が限りなくゼロに近いとしても…。

追記)結局、回答はなかった。

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