2016年5月7日土曜日

トランプ氏の発言を曲げて伝える日経の社説

なぜかよく分からないが、日本経済新聞はトランプ氏の発言を正しく伝えようとする意思が乏しいようだ。7日朝刊の社説「『トランプ指名』が示す米孤立主義の加速」もそんな記事の1つだ。気になったのは「トランプ氏が薦めるからといって、核武装が日本の進むべき道ではあるまい」という一節だ。ここからは「トランプ氏が日本に核武装を薦めている」と解釈するしかない。それで正しいのかどうか考えてみよう。

浅草寺(東京都台東区) ※写真と本文は無関係です
社説と同じ面に載った「トランプ氏 日本に波紋」という記事には、トランプ氏の発言を並べた表が付いている。ここでは「米国が国力衰退の道を進めば、日韓の核兵器の保有はあり得る」(3月26日、ニューヨーク・タイムズで)との発言を紹介している。これは日本に核武装を薦めている発言と言えるだろうか。この問題に関しては、5月4日のCNNとのインタビューでもトランプ氏が言及したようだ。毎日新聞は以下のように書いている。

【毎日の記事】

日本の核兵器保有を容認する考えを示した発言については、「私は日本に(核)武装してほしいのではなく、少なくともその(駐留)経費を弁済してほしいのだ」と説明。目的は駐留経費の負担を求めることであり、払わない場合には駐留米軍が撤退し、日本が北朝鮮の脅威を前に自衛するために何が起きるかを語ったとする持論を展開した。

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トランプ氏の発言はもともとが「日本の核兵器保有を容認する考えを示した」もので、核武装を薦めてはいないと思える。CNNとのインタビューで「私は日本に(核)武装してほしいのではなく、少なくともその(駐留)経費を弁済してほしいのだ」と説明しているのであれば、なおさらだ。なのにCNNのインタビューの内容を日経も含む各紙が記事にした翌日の社説で「トランプ氏が薦めるからといって、核武装が日本の進むべき道ではあるまい」と書いてしまうとは…。日経の論説委員の見識を疑うほかない。


※社説の評価はD(問題あり)。トランプ氏に関する日経の記事については「あれこれ気になる日経 伊奈久喜特別編集委員の『風見鶏』」「トランプ氏の発言を不正確に伝える日経 吉野直也記者」も参照してほしい。

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