2016年5月12日木曜日

ヨーカ堂の失敗触れず鈴木敏文氏称える週刊ダイヤモンド

週刊ダイヤモンド5月14日号の特集「カリスマ退場~流通帝国はどこへ向かうのか」のPart3「カリスマが築いた帝国の軌跡」には、セブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長に甘い週刊ダイヤモンドの問題点がしっかり出ている。「カリスマが築いた帝国の軌跡」を6ページも使って振り返っているのに、総合スーパーのイトーヨーカ堂などでの失敗については全く触れていない。

福岡県うきは市の流川桜並木※写真と本文は無関係です
鈴木氏は功罪相半ばする経営者だ。「功の方が多い」との見方はできるかもしれないが、結果を出せなかった事業に言及せず「これまでの功績を否定する人はいない」などと書いても説得力はない。“鈴木教の信者”とも言える田島靖久副編集長が特集に参加している影響がこの辺りに出ているのかもしれない。

『顧客目線』と『変化対応』 鈴木会長が貫いた二つの哲学」という記事では、冒頭で以下のように書いている。

【ダイヤモンドの記事】

セブン-イレブンの1号店をオープンさせてから42年間、鈴木敏文会長は二つの考えを訴え続けた。それは顧客目線と変化対応。いつしか組織全体に浸透し、今日の成功の礎となった

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鈴木氏は経営者としてコンビニだけに関わってきたのではない。ヨーカ堂も長年にわたって指揮している。「顧客目線と変化対応」の考え方が「いつしか組織全体に浸透し、今日の成功の礎となった」のならば、なぜヨーカ堂はダメになってしまったのか。そこを論じないと「帝国の軌跡」をきちんと振り返ったとは言えない。

経営方針を徹底させるための時間も権限も鈴木氏にはあった。なのにヨーカ堂には浸透しなかったとすれば、経営者としての能力に疑問符が付く。「組織(グループ)全体に浸透」したのに、ヨーカ堂を立て直せなかったとすれば、鈴木氏の訴えた「顧客目線と変化対応」がコンビニ事業の成長を支えたのか疑わしい。

鈴木氏が出した方針をヨーカ堂の従業員が守らなかったとは考えにくい。ダイヤモンドも「社内外を一枚岩にして動かす 鈴木イズムが生んだ鋼の組織」という記事で以下のように説明している。

【ダイヤモンドの記事】

鈴木敏文会長が生み出したのは、コンビニエンスストアだけではない。社内のみならず、社外まで巻き込んで一枚岩のようにして動かす“鋼の組織”もその一つだ。

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ダイヤモンドの記事の通りだとすれば、ヨーカ堂にも鈴木氏の考え方は浸透していたはずだ。なのに業績は低迷を続けた。だとすれば、経営者の考え方自体が間違っていたと判断すべきだ。鈴木氏に関しては「コンビニとその関連事業を除くと、的確な経営方針を示せなかった」と評するのが適当だと思える。なのにダイヤモンドは、うまく行った部分にだけ光を当てて論じてしまった。そんな書き方しかできないのであれば、Part3は省いた方が良かった。


※特集全体の評価はD(問題あり)。田島靖久副編集長への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。新井美江子記者、泉 秀一記者、大矢博之記者への評価はDを維持する。田島副編集長への評価については「週刊ダイヤモンドを格下げ 櫻井よしこ氏 再訂正問題で」を参照してほしい。また、今回の特集に関しては「セブン&アイ 反鈴木敏文派を『虫』と呼ぶ週刊ダイヤモンド」「『セブンイレブンが先駆者』? 誤り重ねる週刊ダイヤモンド」でも取り上げている。

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