2016年5月20日金曜日

今度はゼンショー? 東洋経済 常盤有未記者の問題点(1)

東洋経済の常盤有未記者が問題のある記事をまた書いていた。東洋経済オンラインに20日付で載った「復活『すき家』、業績急改善が止まらないワケ~ゼンショー、絵に描いたようなV字回復を達成」という記事がそれだ。最も引っかかるのは、ゼンショーの「原価改善」に関する説明だ。記事の当該部分と、東洋経済への問い合わせを併せて見てほしい。

暁星中学・高校(東京都千代田区)
           ※写真と本文は無関係です
【東洋経済オンラインの記事】

2016年3月期は期初の時点で深夜営業を休止していた店舗が616店あったが、期末には232店にまで減少した。深夜営業再開店舗の増加は連結売上高で71億円の増収、営業利益で27億円増益の要因となったとしている。深夜の複数勤務体制構築により人件費は上昇したが、売り上げ増により吸収できた。

また、深夜営業を休止していた期間は、一定の時間で店舗を開店・閉店することによる食材廃棄ロスが大きくなった。深夜営業の再開に伴い、ロスは改善傾向にある。2015年4月に牛丼価格を291円から350円に値上げ(牛肉、玉ねぎを20%増量)した効果と合わせて、原価が20億円改善したという

【東洋経済への問い合わせ】

「『復活すき家』、業績急改善が止まらないワケ」という記事についてお尋ねします。記事では「深夜営業を休止していた期間は、一定の時間で店舗を開店・閉店することによる食材廃棄ロスが大きくなった。深夜営業の再開に伴い、ロスは改善傾向にある。2015年4月に牛丼価格を291円から350円に値上げ(牛肉、玉ねぎを20%増量)した効果と合わせて、原価が20億円改善したという」と説明しています。

「原価が20億円改善」とは「原価が前の期に比べて20億円減った」という意味でしょう。しかし「牛丼価格を291円から350円に値上げ」しても原価は減りません(原価率を下げる効果はあります)。「牛肉、玉ねぎを20%増量」に関しては原価を増やす要因です。食材廃棄ロスの減少も利益を押し上げる効果はあるでしょうが、原価を減らすものではありません。深夜営業の再開によって使う食材の量自体が増えているのであれば、むしろ原価は膨らみます(価格変動は考慮していません)。「値上げや増量で原価が20億円改善する」という説明は正しいのでしょうか。

ゼンショーの決算資料によると、2016年3月期の原価は前の期より78億円増えており、原価率も43.0%から43.4%に悪化しています。記事から「ゼンショー全体で16年3月期に原価が前の期と比べて20億円減少した」と理解しましたが、どうも違うようです。これは「牛丼事業では原価が前の期より20億円減った」「食材ロス抑制、値上げ、増量による原価削減効果が20億円だった」という趣旨かもしれません。ただ、説明が十分だとは思えません。

上記の点に関して、どう理解すればよいのか教えていただければ幸いです。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

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食材廃棄ロスの減少については、場合によっては原価が減る要因となる。例えば、従来は50億円の食材を使って年間100億円の売り上げを達成していたとしよう。さらに、食材の1割を廃棄していたと仮定する。他の数字は変えずに、食材の廃棄だけをゼロにできれば原価は5億円少なくて済む。

しかし、ゼンショーの場合は余った食材を深夜営業で使うのだから、使用する食材の量が減るわけではない。むしろ増える可能性が高い。仕入れ価格が一定だと仮定すると、食材費は横ばいか増加だ。

値上げや増量に関しては、なぜ原価を減らす「効果」があるのか全く理解できなかった。回答が届いたら紹介したい。この記事には、他にも気になる点がある。それらには(2)で言及する。常盤記者に関しては「ミズノへの分析の甘さ目立つ東洋経済 常盤有未記者」も参照してほしい。

※(2)へ続く。

追記)結局、回答はなかった。

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