2016年5月21日土曜日

今度はゼンショー? 東洋経済 常盤有未記者の問題点(2)

東洋経済オンラインに常盤 有未記者が書いた「復活『すき家』、業績急改善が止まらないワケ~ゼンショー、絵に描いたようなV字回復を達成」という記事では、「業績急改善のワケ」ではなく「業績急改善が止まらないワケ」を解説しているはずだ。今期以降も持続的かつ構造的に業績が良くなる「ワケ」とは何か。期待して読んだものの、納得できる説明は結局なかった。今期以降について触れたくだりは以下のようになっている。
東京スカイツリー(東京都墨田区)
         ※写真と本文は無関係です

【東洋経済オンラインの記事】

2017年3月期は、売上高5588億円(前期比6.3%増)、営業利益177億円(同46.2%増)、当期純利益70億円(同74.6%増)と、会社側は続伸を予想している。純利益は過去最高だった2007年3月期の61億円を上回る見通しだ。配当は5円増配の16円を見込む。

主力のすき家は、牛丼と汁物、おしんこなどのセットメニュー割引や期間限定商品投入などにより客数を増やし、既存店売上高102.4%(前期実績101.1%、営業休止や改装中の店舗を除く実績)を計画する。原価については、牛肉価格の下落により、30億円(グループのなか卯を含む)の改善を見込む。

深夜営業休止中の232店については、深夜営業を再開できる体制を整えることを優先し、再開を急がない方針だ。「既に約9割の店舗で深夜営業を再開していることから、残る店舗の深夜営業再開のインパクトは非常に小さい」(丹羽清彦・グループ財経本部長)。

今期の新規出店予定数は231店。うち、国内のすき家の出店は10出店にとどまる。既に約2000店を有するすき家の出店余地は多くない。今後の成長のドライバーとなりそうなのが、海外のすき家事業と、回転ずしチェーン「はま寿司」だ

海外のすき家店舗は2016年3月末現在で174店。うち134店が中国で、既存店売上高は120%を記録した。今期も中国を中心に海外すき家を126店出す計画だ。国内出店予定数105を上回り、初めて海外出店数が過半を占める。

国内では回転ずしチェーン「はま寿司」の出店が加速している。はま寿司は平日1皿90円、土日祝日100円の低価格と、ラーメンなどサイドメニューの充実を武器に支持を集めている。ゼンショーHDが持つ食材加工・配送網や物件情報が出店の後押しになっている。前期は59店を出店し、2016年4月末現在の店舗数は436店と、「スシロー」の430店(2016年5月現在)を抜き、店舗数では業界1位となった。今期も50店の出店を予定する。

本決算と同時に発表した、2019年3月期までの中期経営計画では3年間で550店舗以上の出店を掲げ、大半が海外すき家とはま寿司になる計画だ。中計はオーガニックグロースを前提とした数字だが、同社は「なか卯」、「華屋与兵衛」の取得など、M&Aにより業容を拡大してきた会社でもある。5月17日には機動的な資本政策を可能にするため、20億円、160万株を上限に自己株取得することを発表した。M&Aは引き続き積極的に検討していく考えだ。

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今後の成長のドライバーとなりそうなのが、海外のすき家事業と、回転ずしチェーン『はま寿司』だ」と常盤記者は書いている。これらの出店で業績がさらに上向く可能性はあるだろう。ただ、「業績急改善が止まらないワケ」としては弱い。繰り返しになるが、「持続的かつ構造的」に収益が上向く理由を述べてほしかった。

例えば「『すき屋』も『はま寿司』も出店1年目から利益を生み始める上に、同業他社と比べた圧倒的な価格競争力がある。今期並みの出店を続けても、10年間は出店場所に困らないほど空白地域も広い」などと書いてあれば「業績急改善は止まらなさそうだな」と納得できる。それほど凄い何かを持っていそうでもないのに「業績急改善が止まらないワケ」と書かれても困る。

今回の記事は会社の見立てに沿って増収増益見通しの理由を書いているだけだ。そこに常盤記者独自の分析が見当たらないのも残念だ。

ついでに言うと、安易に外来語を使っているのも感心しない。「成長のドライバー」「オーガニックグロースを前提」などは、読者に馴染みのある言い回しとは言い難い。改善例を示しておこう。

【改善例】

・今後の成長の原動力となりそうなのが、海外のすき家事業と、回転ずしチェーン「はま寿司」だ。

・中計はM&A(合併・買収)に頼らない前提の数字だが、同社は「なか卯」「華屋与兵衛」などを買収して業容を拡大してきた会社でもある。

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さらについでに、記事の書き方について細かい点を指摘しておく。

◎業績が「続伸」?

【東洋経済オンラインの記事】

2017年3月期は、売上高5588億円(前期比6.3%増)、営業利益177億円(同46.2%増)、当期純利益70億円(同74.6%増)と、会社側は続伸を予想している。

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続伸」とは「相場が引き続いて上がること」(デジタル大辞泉)だ。業績拡大が続くことを「続伸」と表現されると違和感が拭えない。


◎「同」の使い方

【東洋経済オンラインの記事】

営業利益は前期の5倍――。牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスの2016年3月期決算は大幅な増益となった。売上高は5257億円(2015年3月期比2.7%増)、営業利益は121億円(384.9%増)、当期純利益は40億円(111億円の損失)だった。

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上記の「」は「2015年3月期比」を略したものだ。なので「同384.9%増2015年3月期比384.9%増」となる。これは問題ない。ただ、「同111億円の損失」は「2015年3月期比111億円の損失」となってしまい意味が通じなくなる。


◎漢字の続け過ぎ

【東洋経済オンラインの記事】

2016年3月期は期初の時点で深夜営業を休止していた店舗が616店あったが、期末には232店にまで減少した。深夜営業再開店舗の増加は連結売上高で71億円の増収、営業利益で27億円増益の要因となったとしている。深夜の複数勤務体制構築により人件費は上昇したが、売り上げ増により吸収できた。

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深夜営業再開店舗」「複数勤務体制構築」などと漢字を並べると読みにくくなる。「売上高で増収、営業利益で増益」にはややダブり感がある。「構築により売り上げ増により」と「より」が続くのも拙い印象を与えやすい。改善例を示してみる。どちらが読みやすいか比べてほしい。

【改善例】

2016年3月期は深夜営業を休止していた店舗が期初に616店あったが、期末には232店にまで減った。深夜営業を再開した店舗の増加は連結売上高で71億円、営業利益で27億円の押し上げ要因になったという。深夜の複数勤務体制を構築したため人件費は増えたが、売り上げ増により吸収できた。

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※記事の評価はD(問題あり)。暫定でDとしていた常盤有未記者への評価はDで確定とする。常盤記者に関しては「ヨイショが過ぎる東洋経済『アシックス 知られざる改革』」「『孤高のココイチ』書いた東洋経済 常盤有未記者に助言」も参照してほしい。

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