福岡県うきは市の流川桜並木 ※写真と本文は無関係です |
【「ニッポン経済最強論!」の内容】
銀行が持っている国債を日銀が買い上げて、現金をどんどん銀行に渡すという金融緩和は、現日銀総裁の黒田さんだけではなく、前総裁の白川さんも十分にやってきました。つまりだれでもできます(笑)。
難しいのは撤退戦。
これだけ緩和したあとの撤退戦は、その逆、つまり大量の国債を市場に供給して資金を吸い上げねばなりません。瞬間的に大量の国債を市場に出すとなれば(多くは短期国債になるとしても)、値は必ず崩れます。そのときのオペレーションを考えると、国債市場の知識と実務能力、そして何より国債を実際に発行管理する財務省とのコミュニケーション能力が不可欠です。それこそ、実際の決済を考えただけでも大量の資金が行き交うわけで、それをきちんとセトル(セトルメント=決済)できるかどうか。
つまらん話だと思われるかもしれませんが、1回でもフェイル(資金決済不能)を起こせば、その場で金融市場はデッドです。欧州危機と同じになってしまいます。日本がそうなったらアジア中の国がデッドになります。アジアで欧米の中央銀行と直接取引できるのは、日本銀行しかないのですから。
あらゆる中央銀行の取引は、すべて日銀が取り持つのです。韓国が偉そうなことを言っても、日銀なしにはなにもできない。そういう現実を皆さん、あまりにもご存知ない。日銀はアジアで唯一その地位にあるから偉いんであります(笑)。
その意味では財務省出身で、アジア開発銀行におられた黒田さんは適任。そもそも、あの財務省をコントロールするのに学者では無理ですから。
黒田さんのもとで撤退戦を行えば、日本国債は安泰と言ってよいのではないでしょうか。
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◎疑問その1~日本国債は売られる? 売られない?
上記のくだりの後で「ぐっちーさん」は「現状で日本国債以上に安全な資産は存在しません。これが売られることはあり得ません」と書いている。これは明らかな誤りだ。どんなに安全な国債でも売られることは「あり得る」。それは「ぐっちーさん」自身が本の中で認めている。「緩和したあとの撤退戦」では、「瞬間的に大量の国債を市場に出すとなれば(多くは短期国債になるとしても)、値は必ず崩れます」と明確に述べている。値崩れが必ず起きる事態を想定しているのであれば、「売られることはあり得ません」とは言えないはずだ。
◎疑問その2~欧米の中央銀行と取引できるのは日銀だけ?
「アジアで欧米の中央銀行と直接取引できるのは、日本銀行しかない」というのは本当だろうか。2013年10月10日付で日経は次のように報じている。「中国人民銀行(中央銀行)は10日、欧州中央銀行(ECB)との間で自国通貨を相互に融通し合う通貨交換(スワップ)協定を結んだと発表した。(中略)協定の期間は3年で延長もできる。中国は日本など多くの国・地域との間で積極的に通貨スワップ協定の締結を進めており、欧州ではすでに英国とも締結済みだ」。
この分野に詳しくないので断定的な言い方は避けるが、記事を読む限りでは「中国の中央銀行は欧州の中央銀行と直接取引できる」と思える。この判断で正しければ「あらゆる中央銀行の取引は、すべて日銀が取り持つのです」という「ぐっちーさん」の説明も当然に誤りとなるのだが…。
話が長くなってきたので残りは(4)に回す。
※(4)へ続く。
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