2015年8月23日日曜日

日経「からだのフシギ」 当たり前過ぎる内容を載せるフシギ

23日の日経朝刊「日曜に考える」面のコラムを読んで「これを掲載する意味があるのか」と考えさせられた。「からだのフシギ~適度な食事、長生きの源」というそのコラムは、一般の人でも知っていそうな当たり前のことを書き連ねるだけで終わっている。

記事の全文を見てみよう。
夜のユトレヒト(オランダ)中心部 ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

もし、食事を取れないような環境に人間が置かれたら、どうなるだろうか。数日で衰弱し、ひどい場合は命すら奪われかねない。それほど食事は人間が生きていくのに重要だ。

食べ物には炭水化物、脂質、たんぱく質の3大栄養素のほかに、ビタミン、カルシウムや鉄などの無機質(ミネラル)など、さまざまな物質が含まれている。いずれも生命活動に大切な役目を果たしている。

炭水化物や脂質はエネルギー源となり、私たちが動いたり考えたりする活動に重要だ。眠っているときでも心臓や肺などは働いており、ここでもエネルギーは欠かせない。たんぱく質は筋肉など人体を形作るのに必要だ。神経や筋肉などの生理的活動がスムーズに進むのはビタミンやミネラルのおかげだ。

これらの栄養素は、適切な量と質を保つことが大事だ。たんぱく質が不足すると、筋肉がやせおとろえてしまう。ビタミンB1が不足すると、かっけになり心不全などを招く。鉄が不足すると赤血球のヘモグロビンがうまく作られず、貧血になる。

多すぎてもいけない。炭水化物や脂質を取り過ぎれば、やがて肥満になる。高血圧、糖尿病、動脈硬化症などの生活習慣病を引き起こす。心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクも高まる。何事もそうだが、適量を保つことが、健康で長生きする秘訣だ。

(順天堂大学医学部特任教授 奈良信雄)


改めて読んでみても「何だこの記事は?」と思ってしまう。生きていく上で食事が重要なのは当然だ。様々な栄養素が生命活動にとって大切なのも、知らない人はまずいない。体内に鉄分が不足すると貧血になるのも「常識」と言えるだろう。栄養過多が好ましくないのも自明だ。この記事の中に、わざわざ順天堂大学医学部の特任教授に語ってもらうべき内容があるだろうか。

コラムのタイトルは「からだのフシギ」なのに、「本当に人間の体って不思議だなぁ…」と思えるような内容にもなっていない。こういう記事が紙面に出てくるのは、まず編集者の責任だ。筆者に働きかけて「まともな記事」になるように手を打つべきだし、筆者が応じてくれないのならば別の筆者を探す必要がある。

どうでもいい内容を漫然と紙面に載せていては、読者はさらに離れていくだけだ。

※記事の評価はD(問題あり)。筆者である奈良信雄氏の評価も暫定でDとする。

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