2015年6月26日金曜日

日経「働きかた Next~女性が創る」に感じた疑問(2)

引き続き26日付の「働きかた Next~女性が創る(4)」について疑問点を挙げていこう。


◎0歳児保育は家事代行サービス?

「0歳児保育」とは「家事代行サービス」に含まれるのだろうか。記事からは、そうとしか解釈できなかった。具体的には、以下のように書いてある。


【日経の記事】
アムステルダム(オランダ)の運河 ※写真と本文は無関係

日本では家事や育児を他人に委ねることに否定的な風潮が強い。経済産業省が昨年6月に25~44歳の女性に聞いた調査では、家事代行サービスの利用経験がある人はわずか3%だった。だが急速に広がる日本企業の海外展開が、そんな意識を変えるかもしれない

住友商事に勤める出浦直子(33)は昨年12月、赴任先のタイで長男を出産した。日本では1年程度の育児休業を取るのが一般的だが、出浦は0歳児保育を使い、8週間で職場復帰した。「タイでは当たり前。同僚も同じように働いており、不安はなかった」。来月からは会社が新設した補助でベビーシッターを雇う。


出浦さんの話は、海外で家事代行サービスを利用した例なのだろう。しかし、記事を読むと利用したのは「0歳児保育」だ。これは保育所で0歳児を預かってもらうことを指しているはずだ。しかし、一般的には子供を保育所に預けても「家事代行サービスを使用した」とは言わない。仮に保育所の利用も家事代行サービスだとすれば、日本で家事代行サービスの利用経験がある人が「3%」に留まるとは思えない。

そもそも、0歳児保育やベビーシッターは日本でもそれほど珍しくない。記事では「日本では家事や育児を他人に委ねることに否定的な風潮が強い」と書いているが、家事はともかく育児はどうだろう。これだけ多くの保育所があって、待機児童が社会問題化しているほどなのに「育児を他人に委ねることに否定的な風潮」がそんなに強いのだろうか。


◎フィリピンでは家事をシェア?

フィリピンは『先進国』 家事、他人とシェア」という見出しも引っかかる。記事の終わりの方に代官山のシェアハウスで母親同士が助け合う話が出てくる。これは「家事を他人とシェア」と言える。しかし、見出しからは「家事をシェアするという点でフィリピンは先進国」との印象を受ける。実際にはメイドを雇って雇い主が家事の負担を軽減している事例しか出てこない。「家事のシェア」という言葉を使うと「家事負担の共有」だと受け取ってしまう。「あなたの家事を一部こちらで引き受けます。その代わりに、あなたも私の家事を一部肩代わりしてね」というのが「シェア」ではないのか。しかし、メイドやハウスキーパーと家事を「シェア」している人は皆無に近いだろう。


◎ちょっと宣伝くささが…

【日経の記事】

昨年7月に開業したタスカジの利用者はすでに1500人。料金は1時間1500円からと、3000円程度かかる他の家事代行より割安だ。取り次ぎに徹し、自社でハウスキーパーを抱えないので安くなるという。


家事代行マッチングサイトのタスカジを記事で使うのは悪くない。しかし、「日本人はもっと家事代行を利用してもいいのでは」と提案する中で、タスカジの優位性を強調するような記述はどうかと思った。宣伝くささが鼻につくと言うか…。特に以下のくだりだ。「この記事を読んで家事代行を利用してもいいかなと思った読者のみなさん。タスカジは安くていいですよ」と行間から声が聞こえてきそうだ。

※ここまで細々と注文を付けてきたが、決定的な問題はない。記事への評価はC(平均的)とする。

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