2015年6月19日金曜日

櫻井よしこ氏 文章力でも「引退勧告」

「引退勧告」をしたこともあり、櫻井よしこ氏に関心を持つようになってきた。これまで週刊ダイヤモンドに連載している櫻井氏のコラムはほとんど読んでいなかったが、6月20日号の「オピニオン縦横無尽~ウクライナ支援で独・仏を味方に 中国を引きずりだした首相の深慮遠謀」という記事をじっくり読んでみた。やはり櫻井氏は引退した方がいい。今回は文章力に絞って櫻井氏の問題点を探っていこう。


【ダイヤモンドの記事】
ルクセンブルクの城壁の上   ※写真と本文は無関係です


中国人の思考の限界は、自由世界の国々が、力による現状変更に反対し、法による支配を掲げる正論を支持しないなど、あり得ないという国際社会の常識を理解できないことだ。

一読して読みにくい文だと分かる。「中国人の思考の限界は~理解できないことだ」という主語・述語の場所が遠い上に、その間に別の主語・述語をかぎカッコも使わずに挟んでいるからだ。

問題はそれだけではない。この書き方では、読者に作者の意図が伝わりにくい。素直に読めば、「国際社会の常識では、自由世界の国々が、力による現状変更に反対することも、法による支配を掲げる正論を支持しないことも、ともにあり得ない」と解釈できる。しかし、常識的に考えれば、あり得ないのは「自由世界の国々が力による現状変更に『賛成』すること」だろう。

筆者としては「力による現状変更に反対し、法による支配を掲げる」が「正論」を修飾していると言いたいのかもしれない。そういう解釈も不可能ではないが、普通に読めば「あれ、何言ってるの? 何かおかしくない?」と思うのが当然だ。そういう書き方が上手いか下手かは自明だろう。

文章力に疑問を抱かせるくだりは他にもある。


【ダイヤモンドの記事】

今回のG7の陰の主役は何といってもロシアだった。欧州諸国にとってロシア問題の切実さは私たちの想像を超える。メルケル独首相はプーチン大統領と直接、しかも少なからぬ頻度で、電話会談をする関係である。ドイツとロシアの協調関係は、複雑で歴史的な要素を含む独仏露三国関係において、およそいつもドイツのフランスに対するカードとなる。

ヨーロッパ諸国にとって、ロシアとウクライナの問題をどう解決するか、ロシアの拡大をどこまで抑制できるかは重大な課題であり、今回のサミットの陰の主役は紛れもなくロシアだった


今回のG7の陰の主役は何といってもロシアだった」と書いて、再び「今回のサミットの陰の主役は紛れもなくロシアだった」とほぼ同じ言い回しを使っているのも稚拙だ。「筆者は前に書いたことを忘れてしまったのかな」と思ってしまう。強調のために繰り返すのであれば「あえて繰り返すが」「重要なのでもう一度言う」などの文言を入れて、「同じことを書いているのは分かってます」と読者に伝えるべきだ。

記事の内容にも多くのツッコミどころはあるが、ここでは触れない。記事の評価はD(問題あり)とし、櫻井氏の評価もE(大いに問題あり)を維持する。

当該コラムに関する6月13日号の訂正記事に誤りと思われる部分があり、週刊ダイヤモンドに訂正の訂正を求めているが、12日間も放置されたままだ。6月18日には櫻井氏の公式ホームページにも「訂正記事は誤りではないか」と問い合わせをした。明らかな誤りを握りつぶそうとしているのは間違いないと判断できれば、櫻井氏への評価はさらに引き下げざるを得ない。

※櫻井氏に関しては「櫻井よしこ氏の悲しすぎる誤り」「櫻井よしこ氏への引退勧告」「櫻井よしこ氏のコラム 訂正の訂正は載るか?」「櫻井よしこ氏へ 『訂正の訂正』から逃げないで」「ダイヤモンド編集長へ贈る言葉 ~訂正の訂正について」でも言及。

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