2022年3月30日水曜日

日経は「円安悪循環」の今こそ日銀に政策変更を求めよう!

30日の日本経済新聞朝刊では1面に「円安悪循環 警戒強まる~一時125円台、理論値も急低下 経済政策の転機に」という記事(大塚節雄記者)を載せ、金融経済面の記事でも解説をしている。「円安」は好ましくないというスタンスを明確にしてきたと取れるが、日銀に政策変更を迫る姿勢は見えない。28日の円急落を受けた社説も出ていない。何を遠慮しているのか分からないが、今こそ日経として日銀に政策転換を求めるべきだ。

耳納連山の電波塔

1面の記事では「円安が急加速し、円の下落と経常収支の悪化が共振作用を起こす『円安スパイラル』への警戒が強まっている」「直接のきっかけは日米の金融政策の方向性の違いだ。日銀は28日に金利上昇を食い止めようと無制限の国債購入策を発動し、29日も2度にわたり買い入れた。米連邦準備理事会(FRB)は高インフレ鎮圧へ急激な金融引き締めに動く構えで、米金利は急伸している」と書いている。

日本経済にとって「円安」はメリットよりデメリットが上回ると見ていて、その「直接のきっかけ」を日銀の「無制限の国債購入策」が作っているとの判断ならば、それだけでもやめさせれば良さそうだ。しかし、そうは訴えない。

日銀は『円安が経済・物価にプラスとなる基本的な構図は変わっていない』と繰り返す。だが円安の恩恵を受けるのは一部の輸出企業や海外資産を多く持つ富裕層などに偏る。大多数の個人や中小企業は『痛み』を味わう。円安の悪循環は痛みをさらに鋭くする」と日銀に批判的ではある。

筆者は大塚記者だが、この記事を1面トップに据えたのだから、日経全体の方向性も「円安誘導は好ましくない」となっていい。しかし金融経済面に載せた「日銀、円と金利で板挟み~市場に為替介入観測も」という解説記事では日銀に理解を示している。

米国などと異なり、インフレ圧力が賃金上昇につながっていない日本では、緩和の手を緩めることは難しい」と言うが、「緩和」が「賃金上昇」にあまり効果がないことは実証済みではないのか。

基本的に為替相場は市場任せでいい。それは長期金利も同じだ。日銀は強引に長期金利を抑え込んでいる。それが悪い「円安」を呼び込んでいるのならば、わざわざ市場機能を壊す意味はない。長期金利も市場に任せよう。日経には、そう訴えてほしい。

ついでの提案だが、現状は2%の物価目標を撤回する好機だ。「これをやめると円高になる」との懸念が以前はあった。本当にそうなるとは思わないが、本当にそうなったとしても今ならプラスに評価できる。オーバーシュート型コミットメントという的外れな政策にも縛られずに済む。

「日銀は今こそ長期金利への介入をやめよ」

社説の見出しはこんなところでどうか。日経が一歩踏み出してくれることを望む。


※今回取り上げた記事

円安悪循環 警戒強まる~一時125円台、理論値も急低下 経済政策の転機に」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220330&ng=DGKKZO59520480Q2A330C2MM8000

日銀、円と金利で板挟み~市場に為替介入観測も」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220330&ng=DGKKZO59518170Z20C22A3EE9000

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