「厚生労働省に新型コロナウイルス感染症対策について助言する専門家組織『アドバイザリーボード(AB)』の有志」がまとめたという「新型コロナのオミクロン株と季節性インフルエンザの病気の重さを比較した分析結果」には怪しさを感じた。2日付の「オミクロン株の致死率『インフルよりも高い』~専門家組織が見解」という毎日新聞の記事を基に問題点を指摘したい。
夕暮れ時の筑後川 |
「専門家有志」は「現時点の致死率は『オミクロン株が、季節性インフルエンザよりも高いと考えられる』とした」らしい。一方で「専門家有志は分析の前提として、二つの感染症は感染者数の数え方や死亡者の定義が異なることなどから、『比較するのは困難』」とも述べているらしい。「比較するのは困難」なものを「比較」して「現時点の致死率は『オミクロン株が、季節性インフルエンザよりも高いと考えられる』」と結論付けるのは適切なのか。
正確な「比較」は難しいが「致死率」で圧倒的な差があるからと言うなら、まだ分かる。しかし「季節性インフルは複数の方法で致死率を推計したところ、0・006~0・09%だった。一方、今年1月以降の累積死亡者数と累積陽性者数から計算したオミクロン株の致死率は2月21日時点で、0・13%と推定された」らしい。
「0・09%」も「0・13%」も大差ない。ほぼ0.1%だ。「オミクロン株の重症度がこれまでの株に比べて低いことなどから、一部の専門家から季節性インフルと同程度との意見が出ていた」ために、これに反論しようと「専門家有志」は頑張ったのだろう。だが数値だけを見れば「季節性インフルと同程度」のリスクとの見方で問題ないと裏付けている。
「比較するのは困難」という点を重視するならば「現時点の致死率」について「オミクロン株」と「季節性インフルエンザ」のどちらが高いとも言えないとなるはずだ。
仮に「季節性インフルエンザ」の「致死率」が低い方の「0・006%」で、「オミクロン株」が「0・13%」だとしよう。いずれにしても「どちらもそれほど恐れる必要のないウイルス」との判断でいい。
こういう「分析結果」を出してくるということは「『アドバイザリーボード(AB)』の有志」には新型コロナウイルスが「季節性インフルエンザ」と同程度に見られては困る事情があるのではと疑いたくなる。
※今回取り上げた記事「オミクロン株の致死率『インフルよりも高い』~専門家組織が見解」
https://mainichi.jp/articles/20220302/k00/00m/040/321000c
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