新型コロナウイルス感染の第6波の収束ペースが緩やかなのはワクチンの3回目接種が遅れているからだと日本経済新聞は疑わない。しかし、様々な情報を総合すると、そういう結論にはならないはずだ。特に韓国に目を向けてほしい。その意味で17日の朝刊国際2面に載った「韓国コロナ感染 世界最悪~1日40万人超、制限緩和は継続」という記事は参考になる。
有明海 |
記事によると「韓国政府はオミクロンの特性を踏まえて、重症化しやすい60歳以上の8割超がワクチンのブースター接種(追加接種)を完了したことで各種の行動制限を緩和した」らしい。全体の接種率も6割を超えているようだ。それでも「感染者数は今や欧米各国を上回り、世界最悪」で「重症者数や死者数も過去最多水準」。「追加接種」に大きな効果があるとは思えない。
なのに12日の「3回目接種、4月完了は主要都市の1割」という日経の記事では「(3回目接種の遅れが)第6波収束を遅らせる一因にもなっており、接種加速は急務だ」「3回目接種を加速するにはモデルナ製の安全性や有効性に関し、住民にわかりやすく情報を伝えることが不可欠だ」と書いている。
そもそも「追加接種」で感染拡大を防げるのか。「モデルナ製」でもファイザー製でも、そんなに「有効性」は高いのか。追加接種で先行した韓国の動向をしっかり分析すべきだ。
「追加接種」に大した効果がないことは日経も薄々感じているはずだ。15日の「第6波の感染減少ペース、日本は遅く~追加接種進まず」という記事では「接種の遅れだけでは説明できない面もある。3回目接種率は米国も日本も3割前後で同水準なためだ」とは書いていた。それでも同じ記事で「日本の感染減少が勢いを欠く理由の一つとして、ワクチン追加接種の遅れが挙げられる」と言い切ってしまう。
日本の「3回目接種率」は「3割前後」だが、感染者は緩やかな減少傾向。一方、6割超が「3回目接種率」を終えた韓国の「感染者数は今や欧米各国を上回り、世界最悪」で新規感染者が増え続けている。それでも「追加接種」によって感染者減少を加速させられると見るのか。だとすると、もはや信仰だ。
韓国の動向に触れた17日の記事でも「ワクチン接種が遅れた18歳以下が26%を占め」などと「追加接種」の効果を示唆する書き方をしている。韓国に関しては「『追加接種』を進めた結果、感染が広がってしまった」と見る方が、まだ説明が付く。
「追加接種」を進めてもあまり意味はない。その判断に日経も傾くべきだ。「いや大きな効果ある」と言うのならば、韓国と日本を比較した上で、その根拠を示してほしい。
※今回取り上げた記事
「韓国コロナ感染 世界最悪~1日40万人超、制限緩和は継続」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220317&ng=DGKKZO59140770W2A310C2FF2000
「3回目接種、4月完了は主要都市の1割」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC087SD0Y2A300C2000000/
「第6波の感染減少ペース、日本は遅く~追加接種進まず」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220317&ng=DGKKZO59140770W2A310C2FF2000
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