「新型コロナウイルスのワクチンを接種することで不妊になるという科学的な根拠はない」と言えるとしても、「接種で不妊になる」を「誤情報」と断定するのは無理がある。しかし日本経済新聞は社説で「誤情報」と決め付けていた。「有害な誤情報の拡散を民主導で防ごう」と訴えながら、自ら正確さに欠ける情報を読者に提供するのは頂けない。
夕暮れ時の筑後川 |
日経には以下の内容で問い合わせを送った。
【日経への問い合わせ】
4日の日本経済新聞朝刊 総合・政治面に載った「有害な誤情報の拡散を民主導で防ごう」という社説についてお尋ねします。問題としたいのは「米国のワクチン接種は開始こそ早かったものの、ここにきて伸び悩んでいる。大きな要因となっているのが『接種で不妊になる』といった誤情報の流布だ」との記述です。
「接種で不妊になる」を「誤情報」と決め付けていますが、そう言い切れる明確なエビデンスはあるのですか。厚生労働省のホームページでは、新型コロナウイルスQ&Aのコーナーで「ワクチンを接種することで不妊になるというのは本当ですか」との問いに対し「ワクチンが原因で不妊になるという科学的な根拠はありません」と述べているだけです。
これでは「接種で不妊になる」が「誤情報」とは断定できません。接種した人の「不妊」傾向が中長期的に強まるのかどうか結論を出すのは現時点では不可能です。今後の研究が「科学的な根拠」を提示する可能性はあります。
「ワクチンが原因で不妊になるという科学的な根拠はない=ワクチンが原因で不妊になることはない」と社説の筆者は誤解しているのでしょう。「『接種で不妊になる』といった誤情報」と断定することは、それ自体が「誤情報」ではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
そもそも「誤情報の拡散」を「防ごう」と訴える資格が日経にあるのでしょうか。
9月20日の朝刊オピニオン2面に載った「核心~菅政権はなぜ終わるのか」という記事に関して問い合わせを送ってから2週間が経ちましたが回答を得ていません(インシデント番号:210920-000057)。
この記事で「政権の終わり方はむずかしいものである。戦後政治を考えても首相としての任期を全うし『円満退社』したのは佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎の3つの政権しかない」と筆者の芹川洋一論説フェローは書いていました。日本の首相に「任期」はありません。「自民党総裁としての任期」の誤りでしょう。
こうした「誤情報」に関する問い合わせを無視している日経が「誤情報の拡散」を「防ごう」と訴えて説得力があるでしょうか。「核心」に関する間違い指摘も含めて、改めて回答を求めます。
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※今回取り上げた記事「有害な誤情報の拡散を民主導で防ごう」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211004&ng=DGKKZO76300920U1A001C2PE8000
※記事の評価はE(大いに問題あり)
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