「記事にする価値があるかどうか、きちんと考えているのかな」と思える記事が日本経済新聞にはよく載る。今回は5日の朝刊から2例を挙げたい。まずはアジアBiz面に岸本まりみ記者が書いた「ドンキ、タイで3号店 郊外に初、客層拡大図る」という記事を見ていく。
夕暮れ時の風景 |
全文は以下の通り。
【日経の記事】
ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、タイで3号店を開業した。首都バンコク郊外の商業施設「シーコンスクエア」内にアジア業態の「ドンドンドンキ」を出店した。これまで都心部に出店してきたが、郊外への展開で客層の拡大を図る。
売り場面積は2147平方メートルで、取扱商品数は約3万点。
新型コロナウイルスの感染拡大でタイでも巣ごもり消費が膨らんでいることを受け、新店舗では手巻き寿司セットや高級食パンの専門店など自宅で食べられる日本食の品ぞろえを強化した。日本の屋台風料理を楽しめるライブキッチンを設け、渡航制限が続く中でも旅行気分を楽しんでもらう工夫を施す。
化粧品やスキンケア用品に特化したコーナー「コスメティックドンキ」も新設。専門知識のある店員に相談したり、商品を試したりできるようにする。オンライン販売にも注力する。配車大手グラブや東南アジアで広く使われるネット通販「ショッピー」から注文を受け付け、商品を配送する。
◎宣伝係のつもり?
この記事は何がニュースなのか。強いて挙げれば「郊外に初」か。しかし「これまで都心部に出店してきたが、郊外への展開で客層の拡大を図る」と書いているだけで、「郊外への展開」を掘り下げてはいない。
「3号店」ならば基本的に記事にする必要はない。4号店や5号店も岸本記者は記事にしていくつもりか。
今回の記事には「ドン・キホーテ」のキャラクターと従業員らしき4人が入った写真まで載せている。岸本記者は「ドン・キホーテ」の宣伝係を買って出ているのか。
そう思って記事を読むと確かに宣伝臭い。岸本記者にも問題があるが、これをそのまま記事にして問題なしと感じるデスクがいるのも怖い。
要らないと感じた記事をもう1つ。
【日経の記事】
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は4日、岸田文雄内閣が発足したことを受けて談話を発表した。「カーボンニュートラルの実現など多くの重要課題に直面していると認識している」と指摘。そのうえで「岸田首相のリーダーシップのもと『今日より明日はきっとよくなる』と信じられる日本へ導いていただくことを期待する」とコメントした。
◎当たり障りのない話なら…
ビジネス面に載った「自工会の豊田会長、岸田内閣発足『指導力に期待』」というベタ記事の全文だ。自動車産業の存在感が日本では大きいのは分かる。だが、業界団体のトップが内閣発足に際して当たり障りのない「コメント」を発表したから言って記事にする必要があるのか。「岸田首相には期待しない」と「豊田章男会長」が発言したのならば大きく報じていいと思うが…。
※今回取り上げた記事
「ドンキ、タイで3号店 郊外に初、客層拡大図る」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211005&ng=DGKKZO76329420U1A001C2FFE000
「自工会の豊田会長、岸田内閣発足『指導力に期待』https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211005&ng=DGKKZO76331320U1A001C2TB0000
※記事の評価はいずれもD(問題あり)。岸本まりみ記者への評価はDを維持する。岸本記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
業界紙なら分かるが…日経「プリンスホテル、タイで訪日客誘致」https://kagehidehiko.blogspot.com/2017/11/blog-post_0.html
基礎ができていない日経 岸本まりみ記者に記事の書き方を助言https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/06/blog-post_3.html
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