説得力のない連載が日本経済新聞朝刊1面で始まった。記事中の「東大工学部は日本史や漢文ができないと入れない」というコメントに関しては事実誤認があると思えたので以下の内容で問い合わせを送っている。
夕暮れ時の筑後川 |
【日経への問い合わせ】
25日の日本経済新聞朝刊1面に載った「教育岩盤 変化を嫌う①多様性求め異議相次ぐ~入試筆記なしの先端エンジニア大学 改善拒む旧弊打破」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。
《記事の一部》
入試で筆記試験は行わず専門性・人間性・国際性を重視する1時間半の面接のみ。1学年300人で海外留学が必修、半数は大学院へ進学――。アスキー創業者で元マイクロソフト副社長の西和彦氏(須磨学園長)はエンジニア育成に特化した日本先端工科大学(仮称、神奈川県小田原市)の2024年開校を目指して奔走する。
東京大で教える西氏には長年の不満があった。「東大工学部は日本史や漢文ができないと入れない。でも本当にエンジニアに必要な資質なのか?」
東大入試は文系・理系の科目を満遍なく得点する必要がある。エンジニアの才能があっても文系科目が苦手だと積み残される。「そんな若者にチャンスを与えたい」
ーー以下が質問です。
「東大工学部は日本史や漢文ができないと入れない」と「西和彦氏」は言い切っていますが本当でしょうか。東大のホームページで「令和 4 年度一般選抜」の「大学入学共通テストの受験を要する教科・科目」を見ると、理科各類は「世界史B」「日本史B」「地理B」「倫理、政治・経済」の4科目から1科目を選ぶ方式になっています。2次試験では「地理歴史」自体がありません。つまり「日本史ができないと入れない」仕組みにはなっていません。
「東大工学部は日本史ができないと入れない」というコメントは事実誤認に基づくものと考えて良いのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。。「西和彦氏」の発言を正確に伝えているとしても、今回のような件では事実確認の責任が日経側にあると思えます。
せっかくなので問題部分に関する意見も添えておきます。
「文系・理系の科目を満遍なく得点」できないと「エンジニアの才能があっても」その道が閉ざされるのが現状ならば「そんな若者にチャンスを与えたい」という「西和彦氏」を応援したくなります。
しかし、早慶を含め私立大学の理系学部では一般的に国語や社会が入試科目に入っていません。「日本史や漢文ができない」若者が理工系学部で学び「エンジニア」を目指す道はたくさんあります。その意味で「日本先端工科大学」を特別視する必要はなさそうです。
「東大」に関して「エンジニアの才能があっても文系科目が苦手だと積み残される」のは事実でしょう。ただ、「日本先端工科大学」も入試で「国際性を重視」する上に、入学後は「海外留学が必修」となれば、「エンジニアの才能」があっても「海外」が苦手だと「積み残され」てしまいます。結局「東大」と似たような問題が「日本先端工科大学」にも存在するのではありませんか。
問い合わせは以上です。「東大工学部は日本史ができないと入れない」に関しては回答をお願いします。日経では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。間違い指摘の無視は日経にとっての悪しき「岩盤」です。日本を代表する経済メディアとして「変化を嫌う」ことなく責任ある対応を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった
※今回取り上げた記事「教育岩盤 変化を嫌う①多様性求め異議相次ぐ~入試筆記なしの先端エンジニア大学 改善拒む旧弊打破」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211025&ng=DGKKZO76943880V21C21A0MM8000
※記事の評価はD(問題あり)
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