編集後記で内輪の話を書くなとは言わない。むしろ書いてほしい。しかし読者に向けた内容にはすべきだ。週刊ダイヤモンド12月19日号の「From Editors」で山口圭介編集長は以下のように記している。
夕暮れ時の筑後川 |
【ダイヤモンドの記事】
今週号の第1特集を企画した編集委員の田中久夫さんは、これが定年前の最後の特集です。長い間、本当にお疲れ様でした。数々のヒット作を生み出した名物編集長として鳴らし、今回も読者ニーズを巧みにくみ取ったさすがの仕上がりです。
直接指導を受ける機会はそれほどありませんでしたが、独自ランキングや読者目線の企画構成など、誌面を通じて多くを学ばせてもらいました。昨年、編集部が新体制に移行して厳しい部数が続いていたとき、反転攻勢のきっかけは久夫さんの特集でした。あれがなければ、私は辞表を出していたかもしれません。
定年後もぜひとも編集部に関わってもらいたいと思っているので、引き続きよろしくお願いします!
◎社内報に書いた方が…
社内の先輩である「田中久夫さん」に向けたメッセージになっている。それを読者に発信する気が知れない。社内報にでも書くべき内容だ。しかも「今回も読者ニーズを巧みにくみ取ったさすがの仕上がりです」と遠回しな自画自賛の内容になっている。やるなら編集部内でやってほしい。「読者ニーズを巧みにくみ取ったさすがの仕上がり」だと思わない読者もいるはずだ。なのに山口編集長は自ら「読者ニーズを巧みにくみ取ったさすがの仕上がり」だと断定してしまう。
「From Editors」の中身は「From Editors to readers」であるべきだ。
ちなみに今回の「From Editors」では「田中久夫さん」自身も記事を書いている。その一部を見ておこう。
【ダイヤモンドの記事】
今週、定年で退職します。この場を借りてごあいさつ。お世話になった取材先の皆さま、誠にありがとうございました。定年まで持たないと思っていた会社を支えてくれた社内の人たち、わがままな私に付き合ってくれた職場の同僚、本当に感謝です。まだ恨んでいる方、どうか忘れてください。
◎読者への感謝がないが…
編集後記で定年退職の「あいさつ」をするならば、自分だったらまず読者への感謝を伝える。しかし「田中久夫さん」は違う。「取材先の皆さま」「会社を支えてくれた社内の人たち」「職場の同僚」限定だ。「社内の人たち」と「職場の同僚」は重なっている部分も多いので「社内の人たち」に「本当に感謝」なのだろう。
「会社を支えてくれた社内の人たち」から「社内の」を抜けば、そこに読者も入っているという解釈もできる。しかし「田中久夫さん」はきちんと「社内」に限定し、社外の読者は除いている。
「田中久夫さん」が読者に感謝していないのはよく分かった。「定年で退職」するのだからもういい。問題は山口編集長だ。今回の「From Editors」をもう一度読み返してほしい。その上で、読者の方を向いて誌面作りをしているのか、改めて自問してほしい。
※今回取り上げた記事「From Editors」
※記事の評価はD(問題あり)。山口圭介編集長への評価はB(優れている)を据え置くが弱含みとする。山口編集長に関しては以下の投稿も参照してほしい。
ミス3連発が怖い週刊ダイヤモンドの特集「株・為替の新格言」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/blog-post_28.html
ミス放置「改革」できる? 週刊ダイヤモンド山口圭介編集長に贈る言葉
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_95.html
「ミス放置」方針を転換した週刊ダイヤモンドの「革命」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_12.html
週刊ダイヤモンド ようやく「訂正」は出たが内容が…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_15.html
山口圭介編集長を高く評価したくなる週刊ダイヤモンドの訂正
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/04/blog-post_26.html
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