3日の日本経済新聞朝刊企業1面に載った「ホンダ、早期退職を優遇~来年度から 55歳以上、再就職も支援」という記事には色々と問題を感じた。全文は以下の通り。
JR下関駅前 |
【日経の記事】
ホンダは2021年度から中高年やシニアの正社員向けに早期退職時に割増退職金を払う制度を導入する。55歳以上が対象で、希望すれば再就職支援も実施する。ホンダは17年に定年を60歳から65歳に延長したが、車の電動化などが急速に進み若手やソフトウエア技術に強い中途社員へのニーズが強まっている。新制度で年齢構成や人員配置の適正化を進める。
21年4月から「ライフシフト・プログラム」と名付けた制度を新たに導入する。早期退職の募集人数や期限は定めない。初年度は55歳以上64歳未満、2年目以降は59歳未満の社員を対象とする。
ホンダはかつて早期退職者の退職金を割り増しで払う制度があったが、11年に終了していた。当時は45歳以上が対象だった。
今回は直近の定年延長に伴い生じつつあるシニア人材の余剰感に対応する。自動車業界では自動運転や電動化など「CASE」と呼ばれる新領域の発展により求められる技術も変わってきている。長年の経験よりも新たな知識が必要な場合も多く、新制度で組織の新陳代謝を進めやすくする。
期間を設けて退職者を募るような措置はとらない。継続して働きたいシニア社員の雇用は続ける。希望する社員には再就職を手助けする。
ホンダは新型コロナウイルスの感染拡大を受けた販売減などで、21年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比34%減の4200億円となる見込み。早期退職の優遇制度の導入で、シニア社員を中心とする人件費の圧縮を進める狙いもありそうだ。
◇ ◇ ◇
気になった点を列挙してみる。
(1)「中高年やシニア」って…
冒頭の「中高年やシニア」が引っかかる。「シニア」も「中高年」ではないのか。
「中高年やシニアの正社員向けに早期退職時に割増退職金を払う制度を導入する。55歳以上が対象」と書いているが「55歳以上が対象」ならば最初から「55歳以上の正社員向けに早期退職時に割増退職金を払う制度を導入する」と説明すれば済む。「中高年やシニア」がそもそも無駄だ。
(2)どの程度の「優遇」?
「早期退職を優遇」と見出しでも打ち出しているが、どの程度の「優遇」なのか触れていない。「割増退職金を払う制度」であれば、どのくらいの「割増」なのかは欲しい。分からないのならば、その点は記事中で明示すべきだ。
(3)「期間」は定めない?
「早期退職の募集人数や期限は定めない」「期間を設けて退職者を募るような措置はとらない」と繰り返す一方で「初年度は55歳以上64歳未満、2年目以降は59歳未満の社員を対象」とも書いている。だとすると59~63歳に関しては「初年度」しか制度を利用できないのではないか。「期間を設けて退職者を募るような措置」とも言えるはずだ。
「定めない」と書きたいのならば「59歳未満の社員に関しては期間を設けて退職者を募るような措置はとらない」などと説明した方がいい。
(4)「若手やソフトウエア技術に強い中途社員」?
「車の電動化などが急速に進み若手やソフトウエア技術に強い中途社員へのニーズが強まっている」という文には拙さを感じた。これだと「『若手やソフトウエア技術』に強い中途社員」と読み取りそうになる。書き方が上手くない。
※今回取り上げた記事「ホンダ、早期退職を優遇~来年度から 55歳以上、再就職も支援」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201203&ng=DGKKZO66901280S0A201C2TJ1000
※記事の評価はD(問題あり)
0 件のコメント:
コメントを投稿