金華山黄金山神社の鹿(宮城県石巻市) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
ヤフーは今秋にフリマアプリを立ち上げる。スマートフォンで消費者同士が商品を気軽に売買できることから急成長しているフリマアプリ市場に本格的に参入する。ヤフーとソフトバンクが展開するスマホ決済の「PayPay(ペイペイ)」で支払いや売上代金の受け取りができるようにする。先行する最大手のメルカリに対抗する。
◎「フリマアプリ参入」で問題なし?
「フリマアプリ ヤフーも参入」という見出しに釣られて記事を読み始めると、最初に「ヤフーは今秋にフリマアプリを立ち上げる」と出てくる。これだと「現段階でヤフーはプリマアプリに参入していない」と理解するのが自然だ。
しかし、その後で「フリマアプリ市場に本格的に参入する」と出てくる。日経の記事で「本格」の文字を見つけたら要注意だ。
記事の続きは以下のようになっている。
【日経の記事】
経済産業省によるとフリマアプリの市場規模は2018年で6392億円と前年に比べ32%増えた。メルカリのほか、楽天が展開する「ラクマ」も専門家が検品した中古スマホを取り扱うなど品ぞろえを拡充している。一方で、ヤフーが手掛ける「ヤフオク」などのネットオークションの市場規模は18年に1兆133億円。フリマアプリを上回るが、伸び率は9%にとどまる。
ヤフーは新たなアプリ「ペイペイフリマ」を立ち上げて、高い伸びが見込める個人間取引の市場に本格参入する。約800万人いるペイペイの利用者を取り込み、メルカリや楽天に対抗する狙いだ。メルカリの国内の年間取扱高は約4500億円だ。
◎まだ「本格参入」してない?
上記のくだりでは「個人間取引の市場に本格参入する」という説明が引っかかる。ヤフーは「ネットオークション」の大手なので既に「個人間取引」には「本格参入」しているはずだ。
さらに記事を見ていく。
【日経の記事】
ヤフオクでも17年から個人間取引のために「フリマモード」という機能を盛り込んでいたが、メルカリなどの競合に埋もれていた。スマホのアプリとして独立することで利用者を増やす。
フリマアプリを立ち上げた後も、ヤフオクは従来通りサービスの提供を続ける。ヤフオクでは個人のほか企業も出品できるが、新しく始めるフリマアプリでは出品は個人に限る方針だ。ヤフオクで導入している出品者と購入者が互いの住所を知らなくても配送ができる匿名配送サービスも利用できるようにする。
◎ここでようやく…
「ヤフオクでも17年から個人間取引のために『フリマモード』という機能を盛り込んでいた」と、ここまで来てようやく「本格参入」と表現した理由が分かる。ただ、「フリマモード」の規模に触れていないので「本格参入」と言えるほど現状では取り扱いが小さいのか不明だ。
筑後船小屋駅(福岡県筑後市)※写真と本文は無関係 |
記事では「メルカリの国内の年間取扱高は約4500億円だ」と入れている。「メルカリ」の数字を出す余裕があるのならば、ヤフーの「フリマモード」の「取扱高」にはしっかり言及すべきだ。
ちなみに日経電子版には2017月2月2日付で「ヤフオク!が名実ともにフリマ参入 メルカリに対抗」という記事が載っている。日経コンピュータの玉置亮太記者によると「ヤフーは2016年6月、即決価格、つまり定額で出品できるフリマ型サービス『ワンプライス出品』をスマホアプリ限定で開始。競りで価格を決めるオークション方式に加えて事実上、フリマサービスに参入した」らしい。
さらに「ヤフーは2017年2月2日、ネットオークション『ヤフオク!』でフリーマーケット(フリマ)サービスを本格的に始めると発表した」という。「『フリマモード』を導入した」のもこの時期だ。
玉置記者の見方に従えば、「2016年」に「事実上、フリマサービスに参入」し、「2017年」に「サービスを本格的に始め」ている。そして今回の記事の見出しは「フリマアプリ ヤフーも参入」。話を大きく見せたいのは分かるが、ちょっと苦し過ぎる。
※今回取り上げた記事「フリマアプリ ヤフーも参入~ペイペイで決済可能に」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190628&ng=DGKKZO46680070X20C19A6TJ2000
※記事の評価はD(問題あり)。
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