2019年6月10日月曜日

「旧民主党が年金破綻を喧伝」と東洋経済 山田雄一郎記者は言うが…

旧民主党」は「架空の年金破綻を喧伝して政権奪取した」と言えるだろうか。個人的にはそういう記憶が全くない。しかし週刊東洋経済の山田雄一郎記者は「旧民主党」の「」を確信しているようだ。「旧民主党」の中に「喧伝」した人がいないとは証明できないが、山田記者の主張は誤解に基づいている気がする。そこで以下の内容で問い合わせを送ってみた。
久留米市の千光寺(あじさい寺)
      ※写真と本文は無関係です

【東洋経済新報社への問い合わせ】

週刊東洋経済編集部 山田雄一郎様 編集長 山田俊浩様  

6月15日号の「編集部から」についてお尋ねします。この中で山田様は以下のように記しています。

とある金融機関の新卒者向け研修でのこと。グループごとにシナリオを作って実演するのだそうですが、『年金はもう破綻していますから』という文言を枕詞に使い、顧客役に金融商品を勧める練習をしているそうです。学生時代、ゼミで年金制度を研究してきたAさんは『年金は破綻していないのだが……』と違和感を覚えたのですがうまく切り出せず、あろうことか自分がそのせりふを言わされる羽目に。いざ発表となったときにそのせりふはあえて言わず『緊張していて、飛んじゃった』とごまかしたそうです。架空の年金破綻を喧伝して政権奪取した旧民主党の罪は果てしなく重く、若者の心は今も日本のどこかで傷ついています

問題としたいのは「旧民主党」が「架空の年金破綻を喧伝して政権奪取した」かどうかです。そういうイメージがなかったので、2009年の衆院選でのマニュフェストを調べてみました。「『年金通帳』で消えない年金。年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します」などとは訴えていますが「年金は破綻している」とも「年金は破綻する」とも「喧伝」していません。

旧民主党」の議員が「架空の年金破綻を喧伝」していた可能性も探ってみました。2010年3月17日付で自民党の伊藤達也衆院議員が「破綻へのカウントダウンが進む年金システム」と訴えているものはあります。しかし「旧民主党」に関しては、そうした「喧伝」を見つけられませんでした。

本当に「旧民主党」は「架空の年金破綻を喧伝して政権奪取した」のですか。「架空の年金破綻を喧伝して政権奪取した旧民主党の罪は果てしなく重く」というのならば、党を挙げて「喧伝」している必要があります。しかし、その可能性は非常に低い気がします。

旧民主党」が「架空の年金破綻を喧伝して政権奪取した」という記述は事実に反すると考えてよいのでしょうか。記事の説明に問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

山田様は「旧民主党」のせいで「若者の心は今も日本のどこかで傷ついて」いると見ているようですが、これも解せません。百歩譲って「旧民主党」が「架空の年金破綻を喧伝」したとしましょう。しかし「金融機関の新卒者向け研修」で「年金はもう破綻していますから」と言わせていることの責任を「旧民主党」だけに押し付けるのは無理があります。

既に述べたように自民党議員も「破綻へのカウントダウンが進む年金システム」と訴えていました。そもそも「金融機関」は「年金」に関して政治家に騙されているのですか。「年金はもう破綻していますから」と訴えた方が「金融商品」を売りやすいから、そういう「練習」をしているだけではありませんか。「旧民主党」が「架空の年金破綻を喧伝」しなければ、「金融機関」が「年金はもう破綻していますから」と顧客に説明することもなかったのですか。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御誌では読者からの問い合わせを無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

山田雄一郎記者をこれまで高く評価してきた。しかし、6月15日号の特集「50歳からのお金の教科書」と「編集部から」の内容を見ると、評価を見直さざるを得ない。特集に関しては別の投稿で触れる。


※「編集部から」の評価はD(問題あり)。山田雄一郎記者への評価はB(優れている)からC(平均的)に引き下げる。山田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

東洋経済の特集「東芝が消える日」山田雄一郎デスクに疑問
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/04/blog-post_19.html

東洋経済「保険に騙されるな」業界への批判的姿勢を評価
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_15.html

東洋経済 山田雄一郎記者「社外取締役のお寒い実態」に高評価
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_18.html

さすが山田雄一郎記者 読むに値する東洋経済の特集「保険の罠」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/blog-post_20.html

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