別府タワー(大分県別府市)※写真と本文は無関係 |
当該部分は以下のようになっている。
【日経の記事】
神獣を巡る破壊と再生。頭に浮かんだのは神獣「麒麟」を企業名に掲げるキリンビールだ。アサヒビールに水をあけられていたが、2018年は3年ぶりにビール類の販売が前年比で増える見込み。好調な主因は、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)からマーケティング担当者である山形光晴氏(42)を招き、従来のビジネス手法を破壊したことにある。
15年9月にキリンビバレッジのマーケティング部長に就き、「生茶」の刷新に成功。17年3月にキリンビールのマーケティング部長になると、山形氏は主力の「一番搾り」に切り込む。「(第三のビールの)のどごしやチューハイの氷結ではなく、真ん中の商品を変えないと組織は変わらない」と言い切る。
実は部長就任時に一番搾りのリニューアルの中身は決まっていたが、これをひっくり返した。例えばCMキャラクターはそれまで人気グループの「嵐」で、主婦層の支持率は高かった。だが40~50代の主力客に飲んでもらうために俳優の堤真一さんなどに変更。一部の顧客を失うリスクもあったが、味の改善も支持され、売り上げは逆に伸びた。
「着任したとき、(横軸と縦軸で商品のブランドポジションを考察する)四象限マトリックスを使っていたことに驚いた。あんなやり方、絶滅していたと思ったのに」と山形部長は振り返る。大手4社の決まったプレーヤーが寡占するビール業界。他社との違い、自社商品とのすみ分けなどメーカー目線のマーケティングが低迷の元凶と看破した。
3月に発売した第三のビール「本麒麟」は今年の日経MJヒット商品番付の関脇に選ばれた。真っ赤なボディーに麒麟マークを大きくあしらったデザインは顧客の目を引く。新しさとともにどこか懐かしい。一世を風靡した「キリンラガー」に似ているのだ。赤色に難色を示す声があったが、これも押し切る。「これまでは反対者が一人でもいると動きが止まった。リーダーは半分からは嫌われる仕事」(山形部長)
◎「従来のビジネス手法を破壊」してる?
「キリンビール」では「17年3月にキリンビールのマーケティング部長」に就任した「山形光晴氏(42)」が「従来のビジネス手法を破壊した」と中村編集委員は解説している。具体的な内容を見てみよう。
(1)「一番搾りの」CMキャラクターを「嵐」から「俳優の堤真一さんなど」に変更
(2)「本麒麟」のデザインに一部の反対を押し切って「赤色」採用
「山形氏」がやったことは基本的に上記の2つだと読み取れる。ここに「従来のビジネス手法」の「破壊」があるのか。あるいは「四象限マトリックス」を使わないようにしたのが「破壊」なのか。
「従来のビジネス手法を破壊した」とまで言うのならば、もっと強烈な事例が欲しい。例えば「一切の市場調査をやめ、顧客の声も無視して、1人の担当者の直感でマーケティングの方針を全て決めるようにした」などと書いてあれば「破壊」だと納得できる。
しかし、「メーカー目線」をなるべく避けてといった程度の話ならば、「改善」「見直し」の類だ。中村編集委員がキリンを持ち上げたいのならば、それはそれでいい。だが、大した材料もないのに、大げさに持ち上げるのは感心しない。
※今回取り上げた記事「経営の視点~キリン変えたP&G流 破壊こそ再生への道」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181231&ng=DGKKZO39500420Y8A221C1TJC000
※記事の評価はD(問題あり)。中村直文編集委員への評価もDを維持する。中村編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。
無理を重ねすぎ? 日経 中村直文編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2015/11/blog-post_93.html
「七顧の礼」と言える? 日経 中村直文編集委員に感じる不安
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_30.html
スタートトゥデイの分析が雑な日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_26.html
「吉野家カフェ」の分析が甘い日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html
日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」が苦しすぎる
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_3.html
「真央ちゃん企業」の括りが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_33.html
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