復旧したJR久大線の花月川橋梁(大分県日田市) ※写真と本文は無関係です |
記事の全文は以下の通り。
【東洋経済の記事】
傘下にかんぽ生命保険を抱える日本郵政が2019年にも、米国ニューヨーク証券取引所上場の持ち株会社アフラック・インコーポレーテッドに数千億円出資することになった。
日本郵政にとっては西室泰三・前社長時代の15年に豪トールに約6200億円を投じて以来の大型投資。トールについては、そのわずか2年後の17年3月期決算で約4000億円の減損を計上し、「M&A(企業の合併・買収)下手」の印象が強く残る。だが、同社は成長戦略の一環として20年度までの3年間で数千億円規模の投資を行っていくとしており、今回は長年のパートナーを選んだ。
この資本提携はアフラックにも大きなメリットをもたらすだろう。同社は1974年に日本で初めてがん保険を発売し、「保険業界では、今もがん保険といえばアフラックの名前が真っ先に浮かぶ」(業界関係者)というほどだ。
先行者メリットによって事業を急激に拡大し、今やアフラックグループの保険料収入のうち、7割以上を日本が占める。
ただ、このところ日本事業に陰りが出ていたのも確かだ。医療技術の進歩により、がん保険に対するニーズの中心はアフラックが得意としてきた入院保障から通院保障へ移りつつある。
アフラックの新契約件数は15年度が164万件だったが、16年度は155万件、17年度は144万件と減少傾向が続く。今年、通院治療の保障を充実させた新商品を投入したが、日系生保大手が健康増進型保険を投入するなど、アフラックが強みを持つ医療保険などの「第3分野」保険商品の競争は激化している。
13年に両社が業務提携した際、アフラックのがん保険の取扱局を2万局に拡大することを目指した。今回の提携で「郵便局がもっと売りやすいようながん保険を共同で開発してくるのではないか」と生保大手は警戒感を隠さない。
◎「保険業界」の話が長過ぎる
「この資本提携はアフラックにも大きなメリットをもたらすだろう」と書いて「アフラック」の経営環境などを長々と説明した後で、「生保大手は警戒感を隠さない」と生保業界への影響に触れて記事を締めている。「日本郵政」から見た「アフラック出資の成算」はどこに行ったのか。書いているうちに忘れてしまったのか。
今回の記事では、まず基本的な情報が欠けている。「アフラック」への出資比率はどの程度になるのかは必須だと思えるが、入っていない。日本経済新聞は13日の段階で「日本郵政は米保険大手のアフラック・インコーポレーテッドに約3000億円を出資する方針を固めた。発行済み株式の7~8%を取得し、4年後をメドに持ち分法適用会社とする」と報じている。東洋経済もその気になれば出資比率は入れられたはずだ。
「出資の成算」を考えるならば、取得価格が適正かどうかも触れるべきだろう。市場価格に対してプレミアムは付くのか。「アフラック」の収益力から見て取得価格は割高ではないのか。この辺りに言及する気がないのならば「アフラック出資の成算」を柱に記事を作るのは諦めるべきだ。
「この資本提携はアフラックにも大きなメリットをもたらすだろう」との書き方には「日本郵政」にはもちろん「メリット」があるとの前提を感じる。しかし、それが何かも筆者ら(堀川美行記者と高見和也記者)は教えてくれない。
強いて言えば「郵便局がもっと売りやすいようながん保険を共同で開発」するかもしれないのが「メリット」か。しかし「13年に両社が業務提携」したのであれば、その程度のことは「出資」なしでもできそうだし、「巨額出資」に見合う価値があるとも思えない。
今回の記事を読んでも、結局は疑問が膨らむばかりだ。この内容ならば、わざわざ読者に届ける価値はない。
※今回取り上げた記事「ニュース深掘り~豪トール以来の大型案件 日本郵政、アフラック出資の成算」
https://dcl.toyokeizai.net/ap/textView/init/toyo/2018122900/DCL0101000201812290020181229TKW143/20181229TKW143/backContentsTop
※記事の評価はD(問題あり)。堀川美行記者への評価は暫定C(平均的)から暫定Dへ引き下げる。高見和也記者への評価はDを据え置く。高見記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
看板倒れの東洋経済「どこまで走る、いすゞの株価」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/04/blog-post_88.html
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