くにみ海浜公園(大分県国東市) ※写真と本文は無関係です |
この件に関する問い合わせと日経ビジネス編集部の回答は以下の通り。
【日経BP社への問い合わせ】
12月24日・31日号「時事深層 INSIDE STORY~日産、国内販売力で『一人負け』 『ポスト・ゴーン』巡りルノーと主導権争いも」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。
「もともと日産のディーラーの経営は苦しい。8ページ左下のグラフを見てほしい。これはメーカー別の乗用車の保有台数を今年3月末時点と10年前で比べたもの。日産はこの10年でざっと200万台減らしていることが分かる。トヨタが25万台、ホンダは24万台増やしており、さながら日産は『一人負け』の様相だ。ルノー・日産と連合を組む三菱自動車も82万台に半減している」
「国内のメーカー別乗用車保有台数」に関する「グラフ」には「日産と三菱自の減少が目立つ」との説明文が付いています。だとすれば「日産と三菱自」の「二人負け」です。「グラフ」を見るとマツダもわずかに「減少」しているようなので「減少=負け」ならば「三人負け」となります。
「日産と三菱自」を一体として考えている可能性も考慮しましたが、「日産はこの10年でざっと200万台減らしている」ことを根拠に「一人負け」と書いているので、これはなさそうです。また、減少率で言えば「三菱自」が最大なので、グラフで示した6社の中で1番の「負け」組が「日産」とも言えません(減少した台数で言えば日産が最大ですが、減少率で見るのが適切でしょう)。
「日産は『一人負け』」との説明は誤りではありませんか。見出しで「一人負け」と打ち出すのであれば、明らかに「一人負け」と言える根拠が欲しいところです。
記事に関して他に気になった点も挙げておきます。まずは冒頭の事例です。「今、中古車を買うなら日産自動車よりトヨタ自動車がおすすめ」と「都内にある大手中古車ディーラーの営業担当者」に語らせ、その「理由」を以下のように「営業担当者」が説明しています。
「ゴーンさんの問題が出てから日産車の人気が落ちている。日産という会社のイメージも悪くなってきた。人気が下がると中古車の買い取り価格も落ちるのが業界の常識。この点、トヨタ車なら買う時も高いけど売る時も高く売れる。だからおすすめなんです」
筆者はこの説明に納得したようですが、個人的には「だったら、基本的には日産の中古車を買った方が得では?」と感じました。「性能などの条件がほぼ同じ中古車をトヨタ車ならば120万円で、日産車ならば100万円で買える。3年後の売値はいずれも購入価格の半分。買った車は3年後に売却する」との前提で考えてみましょう。
3年後にトヨタ車は60万円、日産車は50万円で売れます。購入価格と売値の差を売却損と見なすと、損失額はトヨタ車が60万円、日産車が50万円です。同じ性能の車を買ったのに日産車の方が損失を抑えられています。
「トヨタ車なら買う時も高いけど売る時も高く売れる」としても「だからトヨタ車を買った方が得」とはなりません。「3年後にトヨタ車は半値で済むが、日産車は9割下がる」と言えるのならば話は別ですが、「営業担当者」もそういう説明はしていません。
問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。
【日経BP社の回答】
日経ビジネスをご愛読頂き、ありがとうございます。ご質問に回答させて頂きます。
「一人負け」について。日産の中古車の価値が下がっていること、全面改良(フルモデルチェンジ)の新車がこの1年、出ていないこと、検査不正問題で販売店の負担が強まっていること、などを総合的に判断し、タイトルを「日産、国内販売力で『一人負け』」とさせて頂きました。その事例の一つとして、保有台数の減少数も取り上げました。ただ、ご指摘の通り、保有台数を見る場合には、減少率で比較することもできました。ご意見を真摯に受け止め、今後の記事の参考にさせて頂ければと思います。
中古車のお買い得の件について。ご指摘の見方があることを担当記者との間で共有させて頂きたく存じます。
以上です。引き続き、日経ビジネスをご愛読頂きますよう、お願い申し上げます。
◇ ◇ ◇
※今回取り上げた記事「時事深層 INSIDE STORY~日産、国内販売力で『一人負け』 『ポスト・ゴーン』巡りルノーと主導権争いも」
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/121701324/?ST=pc
※記事の評価はD(問題あり)。
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