2018年4月22日日曜日

「アイコス販売鈍化」を工夫なく続けて記事にする日経

「夕刊で書いたのと同じ話を翌日の朝刊で続けて取り上げるな」とは言わない。しかし、続けて取り上げるに足る内容にはすべきだ。重複が多い上に付け加えた情報が乏しい場合は、紙面の無駄遣いになる。21日の日本経済新聞朝刊企業面に載った「PMIアイコス、一人勝ち崩れる 加熱式たばこ」という記事はその典型だ。

宇佐神宮(大分県宇佐市)※写真と本文は無関係です
記事の全文は以下の通り。

【日経の記事(21日朝刊)】

米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)が手掛ける加熱式たばこ「アイコス」=写真=の一人勝ちが崩れてきた。日本たばこ産業(JT)などとの競争が激しくなり、足元で販売が鈍っている。加熱式たばこの先駆者が思わぬ荒波を受けている。

 PMIの株価は19日、前日比16%安と暴落した。引き金になったのは同日発表した2018年1~3月期の決算で明らかになったアイコスの日本での販売状況だ。販売量は想定に届かず、特に喫煙者の4割を占める主要ターゲットの50歳以上に響かなかったようだ

PMIは16年4月、先駆けてアイコスを全国発売した。英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の「グロー」や、JTの「プルーム・テック」など競合が販売を一部地域にとどめるのに対し、PMIは全国でシェアを独占。市場では「加熱式=アイコス」とのイメージが定着した。

だが状況は一変した。BATは17年10月に全国販売へ踏み出し、JTも東京や大阪など大都市へ地域を拡大し始めた。

◇   ◇   ◇

20日の夕刊総合面に載った「日本でアイコス販売鈍化 米フィリップ・モリス株16%下落 」という記事も全文を見ていく。


【日経の記事(20日夕刊)】

【ニューヨーク=平野麻理子】米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルの株価が19日、前日比16%安と暴落した。同日発表した2018年1~3月期決算で売上高が前年同期比14%増えたが、事前の市場予想を下回った。加熱式たばこ「アイコス」の日本での販売が鈍化したのが主因。紙巻きたばこからのシフト戦略の難航が確認され、投資家に嫌気された。

1~3月期の売上高は前年同期比14%増の68億9600万ドル(約7400億円)、純利益は2%減の15億5600万ドルだった。19日の株価の下落幅は過去10年で最大。時価総額にして、約250億ドルを1日で失った。

紙巻きと加熱式をあわせたたばこの出荷量は前年同期比2.3%減の1738億本だった。健康志向の高まりで世界的に紙巻きたばこ離れが広がり、有害物質が軽減できるという加熱式にかかる期待は大きい。1~3月期はその加熱式の伸びが有力市場の日本などで鈍化し、紙巻きの落ち込みを補えなかった。

マーティン・キング最高財務責任者(CFO)は19日のアナリスト向け決算説明会で、「日本での加熱式たばこ機器の売り上げは我々の野望的な予想に届かなかった」と述べた。

特に日本の喫煙者の4割を占める50歳以上の保守的な世代に、加熱式の受け入れが広がっていないという


◎夕刊の記事で十分では?

朝刊の記事の見出しは「PMIアイコス、一人勝ち崩れる 加熱式たばこ」となっているので、話のメインはやはり「米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)が手掛ける加熱式たばこ『アイコス』」だ。しかし、「アイコス」に関しては、基本的に夕刊の情報を繰り返しているに過ぎない。
原田駅(福岡県筑紫野市)※写真と本文は無関係です

PMIの株価は19日、前日比16%安と暴落した。引き金になったのは同日発表した2018年1~3月期の決算で明らかになったアイコスの日本での販売状況だ。販売量は想定に届かず、特に喫煙者の4割を占める主要ターゲットの50歳以上に響かなかったようだ」と朝刊では書いている。

一方、夕刊にも「米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルの株価が19日、前日比16%安と暴落した。同日発表した2018年1~3月期決算で売上高が前年同期比14%増えたが、事前の市場予想を下回った」「特に日本の喫煙者の4割を占める50歳以上の保守的な世代に、加熱式の受け入れが広がっていないという」と説明がある。

前日比16%安と暴落した」「特に喫煙者の4割を占める主要ターゲットの50歳以上」などは表現もかなり重なっている。これは辛い。朝刊の記事では、ダブり感が出ないように工夫するつもりがないと感じられる。

朝刊ではどんな情報を追加しているかと言うと「加熱式たばこ」の日本での状況を加えている程度だ。しかも「一人勝ちが崩れてきた」ことを裏付けるデータさえない。「BATは17年10月に全国販売へ踏み出し、JTも東京や大阪など大都市へ地域を拡大し始めた」といった話に触れた程度で記事は終わる。

例えば「PMIは昨年まで加熱式たばこの日本でのシェアが99%を超えていたのに、今年に入って9割を割ってきている」といった話があれば、まだ救いがある。わざわざ付け加えるに値する情報もないのに、重複だらけの記事を改めて朝刊に載せようとなぜ考えたのか。作り手の良心を疑いたくなる。

さらに言えば、夕刊でも朝刊でも、アイコスの「日本での販売」について具体的な数字が出ていない。夕刊の記事を読んだ時にはPMIが明らかにしていないのかと思ったが、朝刊の記事では「2018年1~3月期の決算で明らかになったアイコスの日本での販売状況」と書いている。「明らかになった」と言えるのならば、記事中でしっかりデータを示してほしい。

PMIがまともなデータを開示していないのならば、夕刊も含めてその点を明示してくれた方がありがたい。「日本での販売が鈍化したのが主因」と書いてあるのに、どの程度の「鈍化」なのか分からないままだと、引っ掛かりが残る。


※今回取り上げた記事

PMIアイコス、一人勝ち崩れる 加熱式たばこ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180421&ng=DGKKZO29631080Q8A420C1TJC000

日本でアイコス販売鈍化 米フィリップ・モリス株16%下落 
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180420&ng=DGKKZO29628460Q8A420C1EAF000


※記事の評価は「PMIアイコス、一人勝ち崩れる 加熱式たばこ」がD(問題あり)、「日本でアイコス販売鈍化 米フィリップ・モリス株16%下落 」がC(平均的)。平野麻理子記者への評価はCで確定とする。平野記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

スタバの対応どこが「黒人差別」? 日経 平野麻理子記者に注文
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/04/blog-post_66.html

1 件のコメント:

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