東本川の桜(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【ダイヤモンドへの問い合わせ】
週刊ダイヤモンド編集部 西田浩史様
4月21日号の「Inside~東京大学理3ランキングに異変 前橋高校と片山学園が快挙」という記事についてお尋ねします。記事には「いずれにせよ、全国の医学部は三大都市圏の私立中高一貫校の出身者が大多数を占める」との記述がありますが、本当ですか。
「大多数」とは「あるまとまった数のうちの、ほとんど全部」(デジタル大辞泉)という意味です。記事の説明を信じれば「全国の医学部」の学生は「ほとんど全部」が「三大都市圏の私立中高一貫校の出身者」となるはずです。
しかし、2017年 国公立大医学部医学科 合格高校ランキング(週刊朝日・サンデー毎日・大学通信が共同で各高校へ調査したもの)を見ると、4位に久留米大附設(福岡)、5位にラ・サール(鹿児島)、6位に愛光(愛媛)、10位に熊本(熊本)と4校も「三大都市圏」以外の高校が入っています。これだけでも「全国の医学部は三大都市圏の私立中高一貫校の出身者が大多数を占める」状況でないのは明らかです。
記事には「もともと地方高校では、高い学力があっても県外の医学部を受験しない生徒が多い。そのため、地元以外の医学部実績を伸ばすのは至難の業といえる」との記述もあります。逆に言えば「地方高校」でも県内の医学部への進学実績はそこそこありそうです。
例えば、2017年の九州大学医学部の合格者ランキングを見ると、上位10校は全て九州勢です。「全国の医学部は三大都市圏の私立中高一貫校の出身者が大多数を占める」との説明が正しければ、九大医学部に九州の高校出身者はほとんどいないはずですが、現実は違うようです。
記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして、責任ある行動を心掛けてください。
この他に感じた記事の問題点にも触れておきます。
今回の記事のテーマは「東京大学理3ランキングに異変 前橋高校と片山学園が快挙」です。しかし、「前橋高校と片山学園」が「東京大学理3ランキング」で何位になったのか触れていません。
「例年、その上位には筑波大学附属駒場、灘、開成、桜蔭、聖光学院などのおなじみ“超名門中高一貫校”が名を連ねる。だが今年は、見慣れない高校2校がランクイン。しかも、それぞれ2人もの合格者数をたたき出し、塾関係者に衝撃が走った」と記しているだけです。
「開成に並ぶ最難関の麻布でも3人、さらに、東大合格者数の上位のラ・サール、渋谷教育学園幕張、栄光学園、東海、洛南と、これらランキング常連校も2人である」と書いてあるので、「前橋高校と片山学園」が1位でないのは読み取れます。また、「筑波大学附属駒場、灘、開成、桜蔭、聖光学院」は合格者が3人以上なのかなとも思えますが、断定はできません。
「東京大学理3ランキングに異変 前橋高校と片山学園が快挙」と見出しで打ち出すのならば、「ランキング」の変化を具体的に読者に見せるべきでしょう。「前橋高校と片山学園」の昨年の合格者数にも言及してほしいところです。
問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた記事「Inside~東京大学理3ランキングに異変 前橋高校と片山学園が快挙」
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/23273
※記事の評価はD(問題あり)。西田浩史記者への評価はC(平均的)からDへ引き下げる。西田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「大学序列崩し」が見えない週刊ダイヤモンド西田浩史記者の記事
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/07/blog-post_7.html
偏差値トップは東大理3? 週刊ダイヤモンド「大学序列」の矛盾
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_68.html
昔の津田塾は「女の東大」? 週刊ダイヤモンド特集「大学序列」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_11.html
九州知らずが目立つ週刊ダイヤモンド特集「大学序列」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_17.html
「中高一貫校」主要178校の選び方がおかしい週刊ダイヤモンド
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/03/178.html
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